質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四二号

尖閣諸島の一部国有化に伴う各種影響等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月十三日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   尖閣諸島の一部国有化に伴う各種影響等に関する質問主意書

 本年九月、日本政府が尖閣諸島の一部を国有化したことを受け、中国や台湾当局は、我が国に対する報復措置を含め反発を強めており、経済や民間交流などの文化の分野にも影響が出ている。日本政府は、海上保安庁巡視船による尖閣諸島付近の領海警備強化や日本の領有権主張に関する広報体制の強化等で対抗しているが、尖閣諸島問題は、「多方面化」、「長期化」の様相を見せている。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 十一月上旬、ラオスで開催されたASEMの会議にて、野田総理大臣と中国の楊外相との間で尖閣諸島の領有権に関する議論の応酬があった。しかしながら、これについて外務省は、十一月八日の自民党外交部会にて、「特定の国」が「独自の主張」をしたと表現している。中国を「特定の国」とし、その領有権主張を「独自の主張」と曖昧な表現にするのは、日本政府としての公式見解か、明らかにされたい。また、この二者間の議論の応酬について、一国の首相と外相という対等でない立場の者同士が、国家主権に関わる事項について議論したことになり、あたかも日本政府の首相の格が低いかのような印象を内外に与え、実際、マレーシアなどではその旨の報道がなされていると聞く。野田総理大臣による反論は、そのタイミングや手法等において大きな課題を残したと思うが、政府の見解如何。

二 尖閣諸島の一部国有化に伴う周辺国との摩擦は、外交だけでなく、経済や文化の分野にも及んでいる。一例を挙げると、日中航空路線における乗客の予約キャンセル、日系商品に対する不買運動、日系企業への発注案件のキャンセル、日系企業との取引停止措置等があり、国際協力銀行の奥田碩総裁は「日本製品の中国での生産や販売は半減以下になっている」と述べている。このような日中間の経済摩擦について、影響が大きいと政府が判断するものを明らかにされたい。また、これらの影響を示す各種経済指標の動きについて、日本政府の評価を明らかにされたい。さらに、それらの評価に応じた具体的な対策について、日本政府の方針如何。

三 尖閣諸島の一部国有化に伴う周辺国の反発や各事業への影響は、多方面化かつ長期化の傾向を見せていると考えるが、政府の見解如何。

四 外務省は、これらの経済分野への影響、政府や地方公共団体等の各種事業への影響等について掌握できていないものが多い。全体像が見通せなければ、それに対する有効な策が打てないと考える。対策のための担当部署は各省庁にまたがっており、多方面に及ぶ情報を長期的に掌握・分析するには不向きであると思われる。ついては、北方領土問題を担当する北方対策室同様、内閣府に尖閣諸島問題の担当部署を設置し、省庁横断的かつ総合的に事態・影響を掌握・分析評価し、短期・中長期的な対策を講ずるべきと考えるが、政府の見解如何。

五 同様に、政府は、竹島について専門部署を設置し、総合的に対処するための体制強化の検討を表明しているが、その進捗状況について明らかにされたい。また、北方対策室、竹島対策室、尖閣対策室設置に加え、それらを総合的に連絡調整する総括機能を内閣府に設置すべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。