質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三四号

日米共同統合演習(実動演習)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月八日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   日米共同統合演習(実動演習)に関する質問主意書

 十一月上旬より、平成二十四年度の日米共同統合演習(以下「実動演習」という。)が国内の基地や周辺海空域で開始され、自衛隊約三万七千人、米軍約一万人が参加するという。実動演習は、日米の相互運用体制の向上や国民の日米同盟への信頼向上につながる実動訓練と考えるが、本年の実動演習は、異例の全面非公開となった。また、沖縄県で計画されていた上陸訓練は中止となった。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 本年の実動演習の目的、訓練内容の概要及び演習特性について明らかにされたい。また、参加米軍内における在韓米軍所属隊員の有無を明らかにされたい。

二 平成二十三年度の実動演習は、マスコミや自衛隊協力者に一部公開されたが、本年の実動演習については、マスコミや自衛隊協力者を含め全面非公開ときく。今回、非公開とする理由を明らかにするとともに、その公開基準について、政府の見解を示されたい。また、マスコミと自衛隊協力者との間の公開基準の差について、政府の見解如何。

三 本年の実動演習は、沖縄県渡名喜村入砂島での上陸訓練(以下「入砂島上陸訓練」という。)実施を計画していたようだが、この訓練の目的及び効果について、政府の認識を示されたい。また、日米共同での上陸訓練の過去の実績について、事実関係を全て明らかにされたい。

四 入砂島上陸訓練を断念した理由を、官房長官は「諸般の事情を総合的に勘案」したためと説明しているが、この計画作成は、半年以上前から多くの関係者が携わり、時間と予算を費やしている。これを政治主導で断念した以上、入砂島上陸訓練を断念して得られるメリットは、費やした時間や予算を上回るものでなければならず、政府には説明責任がある。入砂島上陸訓練を断念したことによって、我が国が得るメリットと国益について、政府の見解如何。

五 入砂島上陸訓練を断念した後、米軍射爆撃場となっている他の島での上陸訓練を検討したとの情報もあるが、この事実関係について明らかにされたい。前記四の「諸般の事情」に、中国政府からの入砂島上陸訓練への反発や抗議、及び日本政府の自主的な中国配慮が含まれるのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 前記四の「諸般の事情」の中に、本年十月に沖縄県で発生した米軍人による集団強姦致傷事件も入っているのか、明らかにされたい。実動演習の目的に照らすと、米軍人の犯罪と実動演習は切り離して考えるべきとの指摘があるが、沖縄での米軍人の犯罪が実動演習へ与える影響について、政府の見解を明らかにされたい。

七 日本政府主導による入砂島上陸訓練断念が、実動演習や日米同盟深化に与える影響について、政府の見解如何。

八 本年の実動演習は、陸上自衛隊の部隊を米軍艦艇が作戦地域まで輸送する訓練等を実施するとしているが、過去の実動演習において、前述の訓練を実施した実績はあるか、また、海上自衛隊の艦艇が米軍部隊を輸送する訓練を実施した実績はあるのか、その事実関係を明らかにされたい。

九 本年の実動演習にて、米軍は実弾射撃を行う計画はあるのか、それについて航空機からの射爆撃はあるか、また、その弾種には対人地雷やクラスター爆弾は含まれていないと認識してよいか、政府の見解如何。

  右質問する。