質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二三号

尖閣諸島をめぐる中国政府の挑発行為及び発言に対する日本政府の見解及び対抗策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月五日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   尖閣諸島をめぐる中国政府の挑発行為及び発言に対する日本政府の見解及び対抗策に関する質問主意書

 中国政府は尖閣諸島を自国領であるとする不当な主張を続けているが、本年九月、野田内閣による尖閣諸島の一部国有化(以下「国有化」という。)以降、中国公船による領海侵犯等、度重なる挑発行為や発言はエスカレートしているといえる。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 中国の楊外相は、九月の国連総会にて、日本を名指しし、「日清戦争末期に日本が不当に中国から釣魚島を盗んだ歴史的事実は変えられない」と発言した。対中関係において、尖閣諸島をめぐる懸案があるのは承知しているが、「不当に盗む」という旨の強い語調による批判は過去にもあったのか、事実関係を明らかにされたい。また、今回中国が強い語調で日本批判をした理由について、政府の見解を示されたい。

二 国有化前後の時期、中国政府が日本政府に対し、尖閣諸島に「上陸、調査、開発しないこと」等を要求したとの報道があるが、この事実関係を明らかにされたい。さらに、中国政府は前記要求等を条件に、日本政府による尖閣諸島の国有化を黙認する旨申入れがあったとの報道があるが、この事実関係を明らかにされたい。

三 尖閣諸島の所有者たる日本政府は、環境保全や船舶の航行安全等の観点から、尖閣諸島に上陸し、調査及び開発を行うべきと考えるが、政府の見解如何。また、いかなる理由においても、尖閣諸島へ上陸し、調査及び開発を行うことを控えるのは、主権国家として言語道断だと考えるが、政府の見解如何。

四 国有化以降、中国政府は航空機等を使用して挑発行為を行っているが、これらに対して行われた航空自衛隊によるスクランブル発進の回数について、明らかにされたい。また、国有化以前と比較して、この回数は増加しているのか、政府の認識を示されたい。

五 尖閣諸島近傍にて、中国政府は「海監」や「漁政」等の公船を使用し、挑発及び示威行動を行っているが、国有化以降、接続水域に侵入した中国公船の種類及び数について月日毎に明らかにされたい。また、尖閣諸島近傍の領海を侵犯した中国公船の種類及びその数を月日毎に明らかにされたい。さらに、これら中国公船の度重なる挑発及び示威行為に対する政府の評価(中国政府の狙いを含む)や対応について明らかにされたい。

六 国有化以降、南西諸島付近での中国海軍の船舶航行状況について、その種類、数、通過場所及び軌跡について、月日毎に明らかにされたい。また、これに対する政府の評価(中国政府の狙いを含む)や対応について明らかにされたい。

七 国有化以降、中国漁船による尖閣諸島付近の接続水域への侵入及び領海侵犯等の事実はあるか、明らかにされたい。もしそのような事実があれば、これら中国漁船の数及び場所について月日毎に明らかにされたい。また、これらの活動に対する政府の評価(中国政府の狙いを含む)や対応について明らかにされたい。

八 国有化以降、台湾の公船や漁船による尖閣諸島付近の接続水域への侵入及び領海侵犯等の事実はあるか、明らかにされたい。もしそのような事実があれば、台湾の公船、漁船の数及び通過場所について、月日毎に明らかにされたい。また、これらの活動に対する政府の評価(台湾の狙いを含む)や対応について明らかにされたい。

九 国有化以降、日中両国間で合意済みであった中国政府関係者らによる日本訪問事業などが、中国政府の判断で取り止めになった、あるいは欠席した事実はあるか、明らかにされたい。また、日本で開催された国際会議やイベントに中国政府関係者等が参加を取り止めた、あるいは代表者を差し替え、または格下げした事実の有無について、日本政府が把握している実態を事業、会議、イベント毎に明らかにされたい。また、これに対する政府の評価及び対応について明らかにされたい。

十 国有化以降、日中両国間で合意していた日本政府関係者らによる中国訪問事業について、日本政府の判断で取り止めた事実はあるか、明らかにされたい。また、中国で開催された国際会議やイベントに日本政府関係者らが参加を取り止めた、あるいは代表者を差し替え、または格下げした事実はあるか、日本政府が把握している実態を事業、会議、イベント毎に明らかにされたい。また、これに対する政府の評価及び対応について明らかにされたい。

十一 今月実施予定の日米共同統合実動演習の一環で計画していた沖縄県渡名喜村入砂島(出砂島)での日米共同実動上陸訓練を断念したとの報道がある。この上陸訓練を計画していた事実はあるのか、また、そのような事実がある場合、これを断念したことは事実か、明らかにされたい。もし断念したことが事実であるとすれば、日米どちらの要求によるものか、日本政府の把握するところについて、明らかにされたい。また、この断念の理由の一つに、中国への配慮があると報道されているがこれは事実か、明らかにされたい。さらに、この断念の理由として、中国の圧力に屈したことによるとの見方があるが、政府の見解如何。この訓練の断念が日米間及び日中間の関係に及ぼす影響について、政府の認識を示されたい。

  右質問する。