質問主意書

第181回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一四号

原子力規制委員会委員長及び同委員に対する国会同意についての野田内閣の姑息な対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年十一月二日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   原子力規制委員会委員長及び同委員に対する国会同意についての野田内閣の姑息な対応に関する質問主意書

 本年九月十九日、原子力規制委員会が発足したが、原子力規制委員会設置法(以下「設置法」という。)第七条第一項に規定されている国会の同意がないまま、委員長及び委員が任命された。七月二十六日に両院の議院運営委員会理事会に既に人事案が提示されていたにもかかわらず、政府・与党としてこのような事態を招いたことは、せっかく与野党合意の下スタートした原子力規制委員会の信頼性を大きく傷つけるだけではなく、国民からは、「民主党の党内分裂を避けるための姑息な対応」と批判が高まっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 参議院環境委員会の設置法案に対する附帯決議第一において、「政府は、原子力規制委員会を円滑に発足させ、放射線による有害な影響から人と環境を守る原子力規制行政を一日も早く国際的な水準まで向上させるよう、速やかに委員長、委員の人事の人選、国会手続きを進め、その見識を反映した組織構成を整備するとともに、十分な資源を確保するよう、特段の配慮を行うこと。」とされているにもかかわらず、結果として、先の通常国会において国会の同意が行われなかったことについて、野田内閣としてどのように反省しているのか、国民に分かるように明らかにされたい。

二 先の通常国会において、七月二十六日に両院の議院運営委員会理事会に既に人事案が提示されていたにもかかわらず、両議院の同意を求める閣議決定が八月二十四日と、一カ月近くも遅れたのはなぜか。

三 前記二の閣議決定以降、九月八日までの先の通常国会会期内に国会同意人事案件の採決が行われるよう、野田内閣としてどのような努力を行ったのか、具体的に明らかにされたい。政府与党は民主党の党内分裂を避けるために先の通常国会において国会同意人事案件の採決を見送ったのではないかとの疑念に対して、野田内閣としてどのように反論するのか。

四 原子力規制委員会委員長及び同委員の資格については設置法第七条第一項に定められているほか、衆議院環境委員会決議「原子力規制委員会設置等に関する件」第十及び参議院環境委員会の設置法案に対する附帯決議第二においてその要件が決議されている。今般、設置法附則第二条第五項に基づき、内閣総理大臣は、原子力規制委員会委員長及び同委員の任命を行ったが、委員長及び各委員がこれらの資格及び要件を満たしていることを具体的に明らかにされたい。

五 設置法附則第二条第六項による読替え後の同法第七条第四項に、「附則第二条第五項の場合において、任命後最初の国会において(原子力災害対策特別措置法第十五条第二項の規定による原子力緊急事態宣言がされている場合であって、その旨の通知が両議院になされたときにあっては、同条第四項の規定による原子力緊急事態解除宣言がされた後速やかに)両議院の事後の承認を得なければならない。」とあるが、現在の臨時国会の会期内において、同規定の「事後の承認」を得ることを目的として、例えば、両議院の承認を求める閣議決定など、最大限の努力を行うのか、それとも、「事後の承認」を求めることさえ行わず、「民主党の党内分裂を避けるための姑息な対応」を続けるのか、野田内閣の方針をその理由とともに明らかにされたい。

六 設置法附則第二条第六項による読替え後の同法第七条第四項に、「原子力緊急事態宣言がされている場合であって、その旨の通知が両議院になされたとき」とあるが、当該通知は行われたのか。通知が既に行われたのであれば、その日付を、衆議院及び参議院のそれぞれについて明らかにされたい。また、本年十月末の時点で行われていないのであれば、その理由を明らかにされたい。

七 原子力災害対策特別措置法第十五条第四項の規定による原子力緊急事態解除宣言はいつごろ行うこととなるのか。野田内閣としての見通しを明らかにされたい。

八 原子力規制委員会委員長及び同委員を国会同意人事とした趣旨や、委員の任期が最短で二年とされていることを踏まえると、原子力緊急事態解除宣言がされる前であっても、両議院の事後の承認を求めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。