質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四三号

内閣参質一八〇第二四三号
  平成二十四年九月十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出戸籍の続き柄における差別記載に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出戸籍の続き柄における差別記載に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、民法(明治二十九年法律第八十九号)及び戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定によれば、嫡出子は父母の氏を称して父母の戸籍に入り、嫡出でない子は母の氏を称して母の戸籍に入ることから、嫡出でない子の続柄については、母を基準として、長男、長女、二男、二女等と記載することとしたものであり、このような取扱いは、戸籍法に反するものではなく、また、合理的なものであると考える。

一の3について

 戸籍は、法律上の親族関係を正確に登録・公証することを目的としていることから、準正による法律上の効果が生じたことを戸籍に反映する必要があるため、御指摘のような取扱いをしているものである。

二の1について

 御指摘の「更正」の申出をするか否かは、母又は子の判断によるものであり、更正の申出がされていない理由については、事案ごとに異なるものと思われるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二の2について

 御指摘の「戸籍における婚外子続き柄の差別記載」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘のように職権により全国の市区町村において一斉に戸籍の続柄の記載を改めることとする場合には、市区町村の戸籍事務担当者において、戸籍に記載されている者全てについて、嫡出子であるか嫡出でない子であるかを確認するとともに、嫡出でない子の続柄を逐一認定して続柄の記載を改めることが必要となるが、このような作業を行うことは著しく困難であるため、お尋ねのように「戸籍の続き柄を職権で変更」することは考えていない。

三の1及び2について

 更正は後発的原因により戸籍の記載が事実に反するに至った場合等にこれを改めるものであり、再製は戸籍をそのままにしておくことが相当でない場合等に再度編製するものであって、それぞれの手続の趣旨が異なるところ、御指摘の「更正」の申出に加えて御指摘の「再製」の申出をもするか否かは、申出人各自の判断によるべきものであるから、これらの申出を御指摘のように「一体化」することは相当でないと考える。
 なお、戸籍の続柄を御指摘のように「更正」する場合に、更正の申出をする方法とこれに加えて再製の申出をもする方法の二つの方法があることについては、法務省ホームページ等を通じて広報しているところである。

三の3について

 お尋ねの「準正となって続き柄が変更された場合」については、一の3についてで述べた戸籍の公証機能に鑑みれば、戸籍をそのままにしておくことが相当でない場合等に当たるとはいえず、戸籍法が定める再製に係る規定を適用し、又は準用することはできないため、再製の申出をすることはできないと考える。

四について

 戸籍における子の続柄の記載方法は、現在の取扱いが社会における国民の意識を反映して定着しているものと認識しており、お尋ねのような取扱いをすることは考えていない。

五の1及び2について

 法務省の人権擁護機関は、これまでも、あらゆる差別は許されないとの観点から、人権週間(毎年十二月四日から同月十日までの一週間)のみならず、年間を通じて、積極的に人権啓発活動を行ってきたところであり、今後とも、国民の間に人権尊重の理念を普及させるとともに、それに対する国民の理解を深めることに資するよう、人権啓発活動の一層の推進を図っていくこととしているが、お尋ねの「婚外子に対する就職や結婚等の差別」及び「婚外子差別」について個別に取り上げた人権啓発活動は実施していない。

五の3について

 御指摘の「その後継計画」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成七年から平成十六年までにかけて実施された御指摘の「「人権教育のための国連十年」に関する国内行動計画」や、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成十四年三月十五日閣議決定)において、お尋ねの「婚外子に対する社会的差別」は「個別の人権課題」として明示的には取り上げていない。
 なお、平成十六年に第五十九回国際連合総会において採択された「人権教育のための世界計画」においても「婚外子に対する社会的差別」は「個別の人権課題」として明示的に取り上げられてはいない。