質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一九号

内閣参質一八〇第二一九号
  平成二十四年八月十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員渡辺猛之君提出高等学校等就学支援金の加算基準の変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員渡辺猛之君提出高等学校等就学支援金の加算基準の変更に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 高等学校等就学支援金(以下「就学支援金」という。)の支給に関する制度を含め、平成二十二年度税制改正で行われた扶養控除の見直し(以下単に「扶養控除の見直し」という。)の影響を受ける各種制度におけるその影響への対応については、税制調査会の下に設置された「控除廃止の影響に係るプロジェクト・チーム」において、その影響をできるだけ遮断する観点から、平成二十二年二月に検討を開始し、同年十月に報告書を取りまとめた。当該報告書では、就学支援金については、その加算基準の変更に際して、「扶養控除の見直しによる税額等の変動を簡便な方法により調整する方式」(以下「簡便な調整方式」という。)を原則として採用することが適当であるが、それが極めて困難な事情がある場合には、「一定のモデル世帯を設定し、当該世帯について負担が生じないように見直す方式」(以下「モデル世帯方式」という。)を採用することも考えられるとされた。これを受け、文部科学省においては、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行令(平成二十二年政令第百十二号。以下「政令」という。)第四条第三項により、扶養控除の見直し後の市町村民税所得割の額を最初に使用することとなるのが、平成二十四年七月分の就学支援金の加算の判定においてであることから、同月の約十一か月前である平成二十三年八月に、各都道府県に対して、これらの方式を採用した場合の事務負担等に関する意向調査を実施したところ、三十三府県から、事務負担が過大にならないようにするためにはモデル世帯方式が望ましい、三県から、扶養控除の見直しの影響をできるだけ遮断するためには簡便な調整方式が望ましい、十一都道県から、どちらとも言えないなどの回答があった。こうした意見等を踏まえた上で、扶養控除の見直しの影響を相当程度遮断しつつ、事務負担の増加を避ける観点から、更なる検討を行った結果、平成二十四年七月分以降の就学支援金の加算基準はモデル世帯方式によるものとすることとし、その予定である旨を同年二月の事務連絡により各都道府県に周知した。しかしながら、その後、政令改正に係る政府部内の調整過程において、モデル世帯方式による加算基準により判定した場合に受給権者の保護者等の収入の状況等に変動がなくとも従来加算対象であった受給権者の一部が対象外となるなどの不公平について、これを避けるべきとの観点から、再度、慎重な検討を行った結果、簡便な調整方式による加算基準とすることとし、その旨を同年六月に御指摘の通知により各都道府県に周知したものである。
 これらの経緯を踏まえると、「都道府県への意向調査や事務連絡の時期が遅すぎた」との御指摘は当たらないと考える。

四及び五について

 平成二十四年七月分以降の就学支援金の加算の判定に際しては、各都道府県や私立高等学校等の設置者等(以下「都道府県等」という。)において、就学支援金の受給権者の保護者等(以下単に「保護者等」という。)の地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二百九十二条第一項第八号に規定する扶養親族のうち十六歳未満のもの及び十六歳以上十九歳未満のもの(以下単に「扶養親族」という。)の人数を把握する必要があるが、これをいわゆる課税証明書等のみにより把握できない場合には、都道府県等における事務負担が過大にならないよう配慮しつつ、可能な限り正確に扶養親族の人数を把握できるよう、文部科学省としては、受給権者が保護者等により扶養されていることを証明できる公的書類である健康保険証の記載をも参酌して扶養親族の人数を合理的に推認するなどの柔軟な取扱いを認める旨を示したところであり、都道府県等においては、こうした方法により、就学支援金の加算の判定に係る事務が適切に行われるものと認識している。

六について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、平成二十四年七月分以降の就学支援金の加算基準の変更に係る政令改正が同月二十五日に行われたことによる都道府県等の事務負担や受給権者の家庭への影響については、これを最小限にとどめる必要があると考える。いずれにしても、四及び五についてで述べた柔軟な取扱いを認めることを通じて、同月分以降の就学支援金の支給が可能な限り速やかに行われるよう促しているところである。

七について

 お尋ねの人数及び金額については、今後、各都道府県を通じて把握する必要があるが、文部科学省において、既存の統計資料を基に大まかに推計したところ、それぞれ約一万九千人及び約十億円と見込んでいる。