質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一八号

内閣参質一八〇第二一八号
  平成二十四年八月十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員谷岡郁子君提出東日本大震災によって親を失った子どもたちへの支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員谷岡郁子君提出東日本大震災によって親を失った子どもたちへの支援に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 厚生労働省等が地方公共団体に依頼して実施した東日本大震災により孤児又は遺児となった者に関する調査等においては、孤児は、両親が死亡し、又は行方不明となった児童等の意味で、遺児は、父又は母が、死亡し、又は行方不明となった児童等の意味で用いている。
 東日本大震災により孤児となった者(以下「孤児」という。)の人数については、岩手県、宮城県及び福島県(以下「三県」という。)からの報告により、平成二十四年六月十二日時点で把握しているところでは、総数は二百四十一人であり、被災時の年齢別の人数は、零歳から六歳までの児童が二十二人、七歳から十二歳までの児童が百五人、十三歳から十五歳までの児童が六十一人、十六歳及び十七歳の児童が五十三人であり、被災時の居住県別の人数は、岩手県で九十四人、宮城県で百二十六人、福島県で二十一人である。また、お尋ねの「施設・親族」に保護されている人数については、孤児のうち、児童養護施設に入所している児童が四人であり、親族等に養育されていると考えられる児童が二百三十七人である。なお、孤児の現在の居住都道府県別の人数は把握していない。
 また、東日本大震災により遺児となった者(以下「遺児」という。)の人数については、三県からの報告により、同日時点で把握しているところでは、総数は千四百六十四人であり、被災時の居住県別の人数は、岩手県で四百八十一人、宮城県で八百四十一人、福島県で百四十二人である。なお、遺児の年齢別及び現在の居住都道府県別の人数や、遺児が「施設・親族のいずれに保護されているのか」については把握していない。

三について

 孤児及び遺児の養育等に関する支援としては、例えば、厚生労働省においては、東日本大震災の発生を受けて、被災地の地方公共団体への児童福祉司、児童心理司等の派遣の調整を行ったところである。
 孤児及び遺児に対する経済的な支援としては、例えば、同省においては、地方公共団体に対し、年金、母子寡婦福祉貸付金、親族里親制度等の周知を依頼しており、また、文部科学省においては、平成二十三年度第一次補正予算等で措置された「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」を活用し、東日本大震災の被災者のうち、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、中等教育学校、専修学校又は各種学校(以下「学校等」という。)に学籍を有し、経済的な理由により就学が困難な者への就学支援を行っているところである。
 孤児及び遺児の心のケアに関する支援としては、例えば、地方公共団体が行う児童の心のケアに関する事業等について、厚生労働省においては、同補正予算で措置された「子育て支援対策臨時特例交付金」を活用し支援しており、東日本大震災の被災者のうち、学校等に学籍を有する者等の心のケアについて、文部科学省においては、同補正予算等及び平成二十四年度予算で措置された「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」を活用し、その充実を図っているところである。また、厚生労働省の要請を受けて平成二十三年十月に設置された日本子ども家庭総合研究所東日本大震災中央子ども支援センターにおいて、児童精神科医等の児童の心のケアに関する専門家の派遣の調整等が行われているところである。
 このような孤児及び遺児に対する支援については、関係地方公共団体や、同省雇用均等・児童家庭局等、文部科学省初等中等教育局、復興庁等が必要に応じて連携しながら実施しているところである。

四について

 孤児及び遺児に対する支援のニーズについては、適宜、児童相談所職員等が児童との面談や、親族との養育等に関する話合いにより把握し、必要な対応を行っているものと認識している。また、厚生労働省としても、被災地の地方公共団体及び児童相談所等における孤児、遺児等に対する対応状況等の情報の収集を行い、今後の支援を行うに当たっての課題を検討する上で活用しているところである。

五について

 お尋ねの民間レベルの支援については、例えば、孤児及び遺児に対する経済的な支援に関しては、文部科学省においては、奨学金事業を行う民間団体等から当該事業に関する情報を収集した上で、同省ホームページへの掲載により、その周知に努めるなど、民間団体等の広報活動を支援しているところである。また、孤児及び遺児の心のケアに関しては、厚生労働省においては、三についてでお答えした東日本大震災中央子ども支援センターと関係地方公共団体等が協働して行う取組を支援しているところである。