第180回国会(常会)
答弁書第二一三号 内閣参質一八〇第二一三号 平成二十四年八月十四日 内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿 参議院議員山谷えり子君提出シリアの情勢に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員山谷えり子君提出シリアの情勢に関する再質問に対する答弁書 一について 我が国は、これまで累次にわたりシリア・アラブ共和国(以下「シリア」という。)における全ての暴力を断固として非難し、暴力の行使を即時停止するよう働きかけを行ってきている。今般、御指摘の決議が国際連合総会において採択されたことは、このような立場で国際社会が一致してシリアの情勢に対応することを示すものであり、歓迎している。 二について お尋ねの「ゴラン高原内の非武装地帯」の意味するところが必ずしも明らかではないが、昭和四十九年(千九百七十四年)五月にイスラエル国とシリアとの間で締結された兵力引き離し協定に規定する兵力引き離し地帯(以下単に「兵力引き離し地帯」という。)内のジャバタにおいては、本年七月中旬以降、国際連合兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という。)により銃撃音等が確認されている。このためイスラエル政府により国際連合安全保障理事会議長等に対して御指摘の申立てがなされたことは、我が国としても承知している。しかしながら、本件事案の詳細は現在確認中であるが、同協定が破棄されたとみなし得るような事実は国際連合においても確認していない。また、ジャバタの情勢は、現時点ではおおむね落ち着きを取り戻しつつあるとともに、同地を除く兵力引き離し地帯の情勢は平穏が保たれている状況であると認識している。 したがって、現時点においても、UNDOFの活動地域において、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)第三条第一号に規定する武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意としてイスラエル国及びシリア間の合意があり、かつ、同号に規定する国際連合の統括の下に行われる活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者であるイスラエル国及びシリアの当該活動が行われることについての同意並びに同法第六条第一項第一号に規定する紛争当事者及び当該活動が行われる地域の属する国であるイスラエル国及びシリアの我が国の国際平和協力業務の実施についての同意は得られている。また、当該活動はイスラエル国及びシリアのいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されている。 なお、同法第十三項第一号に掲げる場合には、同法第八条第一項の規定により定めた実施要領に従って当該業務を中断することとなり、さらに、派遣の終了が必要であると認めるとき、又は適当であると認めるときは、同法第六条第十三項に規定する実施計画の変更を閣議により決定し、我が国の要員の派遣を終了することとなる。我が国の要員の武器の使用については、同法第二十四条等に定めるところによる。 以上を踏まえ、政府としては、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が、引き続き満たされていると考えている。 |