質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五五号

内閣参質一八〇第一五五号
  平成二十四年六月二十九日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員加藤修一君提出違法伐採対策の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出違法伐採対策の推進に関する質問に対する答弁書

一の1について

 国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号。以下「法」という。)に基づき、国及び独立行政法人等(以下「国等」という。)が特定調達物品等(法第六条第二項第二号に規定する特定調達物品等をいう。以下同じ。)として木材又は木材製品を調達する場合には、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(平成二十四年二月七日閣議決定)において、木材又は木材製品の原料となる原木が、伐採に当たって、原木の生産された国又は地域における森林に関する法令に照らして手続が適切になされたものであること(以下「合法性」という。)を要件とするとともに、持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものであることに配慮することとしており、これらの確認は、「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」(平成十八年二月十五日林野庁公表。以下「ガイドライン」という。)に準拠して行うこととしている。一方、ガイドラインに準拠して行う合法性の確認は、民間事業者が木材又は木材製品を調達する場合にも行われることがあるため、ガイドラインの策定による成果を、お尋ねのように法の運用の成果に限定してお答えすることは困難であるが、例えば、社団法人全国木材組合連合会が行った調査によると、ガイドライン3(2)に規定する証明を行った事業者の数は、平成十八年度から平成二十三年度までの間に、四千九百六から八千五百六十に増加しており、合法性が確認された木材及び木材製品の供給は増加しているものと考えている。
 お尋ねの「日本市場における合法性の確認された木材の流通量」については、お尋ねの「各品目の数量」及び「合法性証明を得ているとされる材積」の双方とも把握しておらず、お答えすることは困難である。

一の2について

 国等は、特定調達物品等として木材又は木材製品を調達する際には、当該木材又は木材製品の合法性が確認されていることを証明するものとして当該確認を行った者が発行した書類(以下「証明書類」という。)を納品書に添付することなどを実務上の要件としている。
 また、お尋ねの「合法性証明が不十分な場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、証明書類の記載が虚偽であるなど、当該要件を満たさない場合には、当該木材又は木材製品を調達しないこととしている。
 お尋ねの「政府調達量全体において、合法性証明の要求と確認ができている割合と、各省庁の製品別・国別の実績」は把握していない。

二の1について

 木材及び木材製品の合法性は、ガイドライン2(1)において「伐採に当たって原木の生産される国又は地域における森林に関する法令に照らし手続が適切になされたものであること」と定義しており、その要件は明確であると考えている。

二の2について

 お尋ねの書類のうち、ガイドライン3(1)に規定する森林認証制度及びCoC認証制度を活用した証明方法に基づいて発行された証明書は、木材及び木材製品の合法性が確認されていることを証明するものであると考えている。一方、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)第十四条第一項の規定に基づき農林物資の製造業者等が日本農林規格による格付を行うために受ける登録認定機関の認定に係る書類等については、木材及び木材製品の合法性が確認されていることを証明するものではないと考えている。なお、お尋ねの「輸出手続きに関する書類」については、その意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

二の3について

 お尋ねの「包括的な合法性証明制度のない国」から輸入された原木を原料とする木材又は木材製品についても、国等は、当該木材又は木材製品を特定調達物品等として調達する場合には、一の2についてで述べたとおり、証明書類を納品書に添付することなどを実務上の要件としている。証明書類としては、例えば、二の2についてで述べた証明書が挙げられるが、原木の生産される国又は地域ごとに異なるものであり、全てを把握してはいないことから、「各国ごとの実績」についてお答えすることは困難である。

三について

 政府としては、合法性が確認された木材及び木材製品を取り扱う事業者の数を増やすことが重要であると考え、事業者及び消費者に対する普及啓発に努めているところであり、今後とも、このような取組を行っていくこととしている。

四について

 お尋ねの「木材流通における税金・ロイヤルティの支払」及び「森林の開発・伐採の許認可手続きにおける先住民族や地域住民の森林・土地利用の権利を尊重すること」については、これらが原木の生産される国又は地域における森林に関する法令において規制の対象となっている場合には、合法性の確認の対象となる。

五について

 一の1についてで述べたとおり、国等が特定調達物品等として木材又は木材製品を調達する場合に行う木材及び木材製品の合法性の確認は、ガイドラインに準拠して行うこととしており、「生産国からの何らかの証明書があればすべて合法という位置付けになっている」との御指摘は当たらないものと考えている。また、合法性が確認された木材及び木材製品の供給は増加しているものと考えており、御指摘のように「日本が違法木材あるいは違法の可能性の高い木材の受入国になる可能性」はないと考えている。

六について

 お尋ねのように、民間事業者に対し、木材又は木材製品を調達する場合に当該木材又は木材製品の合法性が確認されていることを義務付けるような制度を導入すべきとの考え方については、御指摘の欧州連合及び米国の法律の内容、実効性等を参考としつつ、導入の必要性、法との関係等を検討する必要があると考えている。