質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五一号

内閣参質一八〇第一五一号
  平成二十四年六月二十九日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員田村智子君提出後発医薬品の利用促進のための環境整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出後発医薬品の利用促進のための環境整備に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省としては、一般名処方に対する加算の対象の周知については、御指摘の「一般名処方の加算対象となる成分・規格を全て網羅した一般名処方マスタ」を整備すれば足りることから、御指摘の「一般名処方加算の対象とならない医薬品の一覧」の整備は必要ではないと考えている。

二について

 原則として、先発医薬品とは、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品並びに同項各号に掲げる医薬品に係る同法第十四条又は第十九条の二の規定による製造販売の承認(以下「製造販売の承認」という。)を受けた者が当該製造販売の承認を受けた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果(以下「有効成分等」という。)が同一であって形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る製造販売の承認を受けた場合における当該医薬品をいい、後発医薬品とは、同法第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品と有効成分等が同一性を有する医薬品として製造販売の承認を受けた医薬品であって先発医薬品以外のものをいうが、後発医薬品が製造販売の承認を受けた後に先発医薬品が同法第十四条第九項(第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)の規定による製造販売の承認を受けた事項の一部変更の承認(以下「一部変更の承認」という。)を受けたこと等により、先発医薬品と効能、効果等に相違がある後発医薬品が当該先発医薬品に代えて調剤された場合も含め、診療報酬請求の審査については、個別の症例に応じて、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年厚生省令第十五号)、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)等に基づき、適切に行われていると考えており、この見解を保険者に個別に周知する必要はないと考えている。

三について

 御指摘の場合については、「後発医薬品における効能効果等に関する取扱いについて」(平成二十四年三月二十九日付け医政経発〇三二九第一号・薬食審査発〇三二九第四号厚生労働省医政局経済課長及び医薬食品局審査管理課長連名通知)等により、医薬品製造販売業者に対して後発医薬品の一部変更の承認の申請を行うことにより、先発医薬品と当該後発医薬品との効能、効果等の相違を可及的速やかに是正するよう指導している。

四の1について

 後発医薬品の製造販売の承認の審査等においては、品質、有効性及び安全性が先発医薬品と同一性を有することを確認しているが、医療現場からは、後発医薬品の品質に対する懸念が指摘されていることから、厚生労働省としては、後発医薬品の品質の信頼性の向上を図るため、国立医薬品食品衛生研究所(以下「国立衛研」という。)において後発医薬品品質情報提供等推進事業を実施することにした。

四の2及び3について

 研究論文等において品質の問題を指摘された後発医薬品については、必要に応じて、後発医薬品品質情報提供等推進事業により国立衛研等において試験を実施し、その結果(以下「試験結果」という。)については、必要に応じて、当該後発医薬品の製造販売業者に対して伝達し、当該製造販売業者から試験結果に対する説明を求め、当該試験結果及び当該製造販売業者からの説明を国立衛研のジェネリック医薬品品質情報検討会(以下「検討会」という。)において検討することにより、品質の確認を行っている。
 試験結果、後発医薬品の製造販売業者からの説明及び検討会における検討結果については、いずれも独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)や国立衛研のホームページ等において公表されており、医師や薬剤師等に対する情報提供が行われている。今後、こうした取組以外の方法による情報提供についても検討していきたい。
 また、試験結果について、後発医薬品の製造販売業者が医師や薬剤師等に対してどのような情報提供を行っているかについては、承知していない。

五の1について

 お尋ねの「後発医薬品の品質確保や品質を確認し情報提供する取組」については、「後発医薬品品質確保対策費」、「医療用後発医薬品再評価対策費」、「後発医薬品品質情報提供等推進費」により実施しているが、お尋ねの決算総額については、事業名ごとに決算総額を集計した資料がないため、お答えすることは困難である。「後発医薬品品質確保対策費」については、平成十七年度から平成二十四年度までの各年度における予算総額は、平成十七年度が三千八百六十九万六千円、平成十八年度が三千二百四万四千円、平成十九年度が二千九百六十八万五千円、平成二十年度が四千三百九十九万九千円、平成二十一年度が四千四百九万千円、平成二十二年度が三千七百四十万八千円、平成二十三年度が三千七十三万千円、平成二十四年度が二千五百八十六万八千円である。「医療用後発医薬品再評価対策費」については、平成十八年度まで実施しており、平成十七年度の予算総額は一億九百六十九万七千円、平成十八年度の予算総額は九千九百九十万五千円である。「後発医薬品品質情報提供等推進費」については、平成十九年度から実施しており、同年度から平成二十四年度までの各年度における予算総額は、平成十九年度が九千九百三十一万五千円、平成二十年度が一億四千五百五十二万六千円、平成二十一年度が一億四千四百八十七万四千円、平成二十二年度が一億四千二百七十四万千円、平成二十三年度が一億四千二百八十万四千円、平成二十四年度が一億四千二百八十三万円である。
 また、機構の後発医薬品、一般用医薬品の製造販売の承認の審査等を担当する一般薬等審査部の平成十七年度から平成二十四年度までの各年度の四月一日時点における常勤職員数については、平成十七年度が二十一名、平成十八年度が二十四名、平成十九年度が二十六名、平成二十年度が三十一名、平成二十一年度が三十五名、平成二十二年度が三十六名、平成二十三年度が三十五名、平成二十四年度が三十四名である。機構の審査部門全体の平成十七年度から平成二十四年度までの各年度の四月一日時点における常勤職員数については、平成十七年度が百七十八名、平成十八年度が百九十七名、平成十九年度が二百六名、平成二十年度が二百七十七名、平成二十一年度が三百五十名、平成二十二年度が三百八十九名、平成二十三年度が四百十五名、平成二十四年度が四百三十八名である。

五の2について

 御指摘の審査管理部門が何を指すのか必ずしも明らかではないが、医薬品の製造販売の承認の審査等や市販後の安全管理を実施する機構においては、後発医薬品の製造販売の承認の審査等について専門的な知識を有する審査員と医薬品の安全管理について専門的な知識を有する調査員を配置するなど体制強化に取り組んでおり、後発医薬品の品質、有効性及び安全性の確保に必要な製造販売の承認の審査等や市販後の安全管理の体制は確保されていると考えている。

五の3について

 日本では、「後発医薬品に係る情報提供の充実について」(平成十八年三月二十四日付け薬食安発第〇三二四〇〇六号厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)により、後発医薬品の製造販売の承認の申請時に提出された先発医薬品との生物学的同等性の試験結果を、当該後発医薬品の添付文書に記載するよう指導している。また、四の2及び3についてで述べたとおり、研究論文等において品質の問題を指摘された後発医薬品については、必要に応じて、国立衛研等において試験を実施し、検討会において検討するとともに、試験結果等を機構や国立衛研のホームページ等において公表している。こうした取組により、御指摘のリストを作成しなくても、医師や薬剤師等に対する後発医薬品に関する情報提供は十分に行われていると考えている。

五の4について

 厚生労働省においては、平成十九年十月に取りまとめた「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」(以下「アクションプログラム」という。)に基づき、試験結果の公表等により後発医薬品の品質の信頼性の向上を図るとともに、都道府県に設置した「後発医薬品の安心使用促進のための協議会」を通じた普及啓発の取組等により後発医薬品の信頼性の向上のための環境整備を進めている。
 今後、平成二十四年度中に後発医薬品の一層の使用促進のためのロードマップを作成し、品質の確保や情報提供体制等の充実を図ることにより、患者や医療関係者が安心して後発医薬品を使用できる環境づくりに努めていきたい。

六について

 後発医薬品については、アクションプログラムに基づく取組等を通じて、引き続き、品質の信頼性の向上に努めていきたい。
 また、新たに薬価基準に収載する先発医薬品の薬価については、これまでも原則として、外国の価格を参考として設定している。薬価の在り方については、今後とも中央社会保険医療協議会における議論を踏まえて、適切に対応していくことにしている。