質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五〇号

内閣参質一八〇第一五〇号
  平成二十四年六月二十九日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員田村智子君提出米海軍厚木基地におけるFCLP問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出米海軍厚木基地におけるFCLP問題に関する質問に対する答弁書

一及び七について

 アメリカ合衆国軍隊(以下「合衆国軍隊」という。)は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)の目的達成のために我が国に駐留しており、空母艦載機着陸訓練等は、同目的達成のため、空母艦載機のパイロットの練度の維持を図り、即応性を確保するとの観点から必要な訓練であると考えているが、空母艦載機による騒音については、関係する飛行場周辺の住民にとって深刻な問題であると認識しており、今後とも、米側に対し、空母艦載機着陸訓練については、できる限り硫黄島で実施するよう求めてまいる考えである。
 また、政府としては、累次の機会に、厚木海軍飛行場における騒音規制措置に関する日米合同委員会合意(以下「厚木騒音規制合意」という。)に従い、航空機による騒音の影響をできる限り軽減するよう米側に申入れを行ってきており、合衆国軍隊は、空母艦載機着陸訓練等の実施に当たっても、周辺住民に対する騒音の影響をできる限り軽減するよう最大限努力していると承知している。
 お尋ねの「苦情件数」については、平成二十四年六月六日に防衛省が関係地方公共団体に確認したところによれば、神奈川県、大和市、綾瀬市、海老名市、横浜市、相模原市、藤沢市、茅ヶ崎市、座間市及び町田市に寄せられた苦情の件数は、同年五月二十二日から同月二十四日までの間が二千六百七十二件、同月二十七日から同月三十日までの間が七百二十八件であり、また、同省に寄せられた苦情の件数は、同月二十二日から同月二十四日までの間が九百八十二件、同月二十七日から同月三十日までの間が三百三十八件と把握している。
 お尋ねの「騒音のレベル」については、同省が同月二十二日から同月二十四日までの間、厚木海軍飛行場周辺に設置している航空機騒音自動測定装置により、同飛行場の滑走路北側に近接した大和市上草柳二百六の地点(以下「北側地点」という。)及び同滑走路南側に近接した同市福田二百五十四の地点(以下「南側地点」という。)における騒音を測定し、WECPNL(加重等価継続感覚騒音レベル)を算出したところ、北側地点では、同月二十二日が百・〇WECPNL、同月二十三日が百十三・三WECPNL、同月二十四日が百八・九WECPNLであり、南側地点では、同月二十二日が百十二・一WECPNL、同月二十三日が百六・四WECPNL、同月二十四日が九十七・四WECPNLであった。

二、三及び六について

 政府としては、平成二十四年五月二十一日午後九時頃、在日米軍司令部から、運用上の都合により、空母ジョージ・ワシントンの出港が数日間遅れ、その間のパイロットの練度を維持するため、同月二十二日から同月二十四日までのそれぞれ午前九時から午後八時までの間、同空母艦載固定翼機全機種による着陸訓練を厚木海軍飛行場において実施することとしたこと、天候や航空機の整備等の事情によっては、所要の訓練を完了させるため、これらの内容を変更し、午後八時以降の飛行を必要とする可能性もあることの通知があり、同月二十二日午前八時三十分頃、関係地方公共団体に対し、その旨の連絡を行ったところである。
 外務省からは、同月二十一日中に、在京アメリカ合衆国大使館に対して、空母艦載機着陸訓練は、できる限り硫黄島で実施するよう申し入れるとともに、仮に硫黄島以外の場所で行わざるを得ない場合には、厚木騒音規制合意等を遵守し、周辺住民への影響を最小限にするよう申し入れたほか、同月二十四日及び同年六月七日にも、米側に対して同様の申入れを行った。防衛省からは、在日米軍司令部に対して、同年五月二十二日、空母艦載機着陸訓練の実施については、実施時間を短縮するなど周辺住民への影響の軽減に最大限努力するよう申し入れたほか、同月二十三日には、同月二十二日に実施された訓練に係る状況を踏まえ、昼夜を問わず訓練を必要最小限とすること、可能な限り早い時間に訓練を終えることなど、騒音の影響の軽減に最大限努力するよう申し入れたところである。
 御指摘の「訓練計画の全容」等については確認されていないが、合衆国軍隊は、厚木騒音規制合意を遵守し、周辺住民に対する騒音の影響をできる限り軽減するよう最大限努力したものと承知している。

四について

 空母ジョージ・ワシントンの出港が延期された理由については、米側から、原子炉を含む同空母の安全性に影響を与える事情によるものではないとの説明を受けているが、それ以上の詳細については、合衆国軍隊の運用に関わる事柄でもあり、お答えを差し控えたい。

五について

 御指摘の平成二十四年五月二十七日から同月三十日にかけての深夜における訓練については、米側から具体的な通知はなかったが、日米安保条約の目的達成のために必要な訓練として行われたものと認識している。同訓練に係る状況も踏まえ、同月二十九日及び同年六月七日、外務省から、米側に対し、航空機訓練については、周辺住民への影響を最小限にするよう申入れを行ったところである。

八について

 日米安保条約及びその関連取極により、米国は我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国の施設及び区域を使用することを認められているところ、空母ジョージ・ワシントンを含む米第七艦隊の我が国及びその周辺におけるプレゼンスは、我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するものであると考えている。

九について

 御指摘の事故については、平成二十四年二月二十三日に開催された日米合同委員会において、我が国から米側に対し、公表可能な調査報告書の写しを提供するよう申し入れ、米側からは、当該事故の調査結果は提供可能になり次第報告するとの回答を得ているところである。