質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三七号

内閣参質一八〇第一三七号
  平成二十四年六月十五日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員福島みずほ君提出原子力災害対策特別措置法及び原子力災害への対応に関する質問に対する答弁書

一について

 菅前内閣総理大臣の辞職後の個別の発言に係るお尋ねについては、政府としてお答えすることは差し控えたいが、国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っており、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)への対応についても、その責任を踏まえて行われるべきものと考えている。

二及び三について

 野田内閣総理大臣は、平成二十三年九月二日に内閣総理大臣に就任して以降、本件事故に係る原子力災害対策本部長としての職務を遂行しており、必要に応じて、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)等に関する説明を受けている。現在、本件事故の教訓を踏まえ、原子力防災対策の見直しを行っているところであり、国が地方自治体及び原子力事業者等と共同して行うこととしている原子力防災訓練については、本件事故の発生以降行われていないが、今後、当該見直しを踏まえ、実施時期や内容等に係る検討を行うこととしている。

四について

 原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号。以下「災対法」という。)第四十八条第一項の規定に基づき、原子力事業者を含む災害予防責任者は防災訓練を実施しなければならないとされているが、必ずしも本件事故のようなシビアアクシデントを想定した防災訓練を実施しなければならないとはされていなかった点等については、十分反省し、原子力防災の抜本的改善を図ることが必要であると認識している。このため、原子力事業者に対しては、本件事故のようなシビアアクシデントを想定した原子力防災対策の強化を求めることとし、法令上で明確にするための検討を進めているところである。また、国においては、万一、原子力施設において本件事故のようなシビアアクシデントが発生した場合等に備え、周辺住民の防護措置についての新たな基準や手順の整備等を進めているところである。

五及び六について

 政府としては、原災法の円滑な運用を図るため、原子力災害対策特別措置法施行令(平成十二年政令第百九十五号)及び原子力災害対策特別措置法施行規則(平成十二年総理府・通商産業省・運輸省令第二号)を定め、また、原災法第二十八条第一項の規定により読み替えて適用される災対法第三十四条第一項の規定に基づき、防災基本計画を定め、更に当該計画に基づき指定行政機関ごとに防災業務計画を定めている。加えて、お尋ねの「マニュアル」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、これらの計画を運用し、原子力発電所の事故に対応することを目的として先の答弁書(平成二十三年十一月二十二日内閣参質一七九第二一号)一についてでお示ししたとおり、各府省等において規程等を作成している。
 これらのうち、原子力災害対策特別措置法施行令、原子力災害対策特別措置法施行規則、防災基本計画、原子力災害対策マニュアル(平成十二年八月二十九日原子力災害危機管理関係省庁会議)については、今国会に提出している原災法の改正案、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた「中間報告」等を踏まえ改めることとしており、その内容については現在検討中である。また、その他の規程等については、政府全体としての原子力防災対策に係る検討状況を踏まえつつ、個別に検討を進めていくこととしている。なお、原子力防災対策については、常により高い水準を目指して取り組むべきものであり、政府としては、その充実に向け不断に努めているところである。

七について

 福島原子力発電所事故対策統合本部(当時)については、政府において、東京電力と同じ場所で本件事故の現場の情報を共有しつつ機動的な判断及び指示を行うため、平成二十三年三月十五日に設置した事実上の組織である。

八について

 原子力災害対策本部は、原災法に基づき、原子力防災組織を含む関係機関が実施する緊急事態応急対策の総合調整を行うことをその所掌事務としていることから、原子力災害対策本部長たる内閣総理大臣と福島第一原子力発電所の原子力防災組織を統括する同発電所長とが直接話すことについては、必ずしも、原災法に反するものではないと考えている。