質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三六号

内閣参質一八〇第一三六号
  平成二十四年六月十五日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員川田龍平君提出脳死下臓器摘出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出脳死下臓器摘出に関する質問に対する答弁書

一の1について

 児童からの臓器提供については、「「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)」(平成九年十月八日付け健医発第一三二九号厚生省保健医療局長通知別紙。以下「ガイドライン」という。)により、臓器提供施設(臓器の提供者から臓器を摘出する医療機関をいう。以下同じ。)に対して、虐待防止委員会等の虐待を受けた児童への対応のために必要な院内体制や児童虐待への対応に関するマニュアル等の整備とともに、可能な限り虐待の徴候の有無を確認するよう努めること等を求めている。お尋ねの事例については、臓器提供施設が、ガイドラインに基づく対応に加え、児童相談所と連携し、臓器の提供者である児童について虐待が行われた疑いがないことを確認したと承知している。

一の2について

 お尋ねの事例については、「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」(以下「検証会議」という。)で、臓器提供施設から提供された資料に基づき、関係法令、ガイドライン及び平成十二年三月二十二日に検証会議が定めた「脳死下での臓器提供事例に係る検証項目及び検証手続について」に照らして検証した。

一の3について

 一の1についてでお答えしたとおり、児童からの臓器提供については、ガイドラインにより、臓器提供施設に対して、可能な限り虐待の徴候の有無を確認するよう努めること等を求めており、臓器提供施設は、臓器の提供者である児童について、児童虐待に係る児童相談所への通告がない場合にも、ガイドラインに基づき、虐待が行われた疑いがないことを確認すると考えている。

一の4について

 政府としては、お尋ねのような調査は行っていないが、一の1についてでお答えしたとおり、お尋ねの事例については、臓器提供施設が、児童相談所と連携し、臓器の提供者である児童について虐待が行われた疑いがないことを確認したと承知している。

一の5について

 検証会議における検証内容等の公表については、臓器の提供者や遺族のプライバシーの保護や心情への配慮が重要であり、遺族の同意が得られないにもかかわらず検証内容等を公表することは、適切ではないと考えている。

二の1について

 お尋ねの事例の原疾患は、「脳梗塞」に分類している。

二の2について

 検証会議は、「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議 一〇二例の検証のまとめ」の対象とした各事例の検証に当たって、臓器の提供者が自殺者であるかどうかについては調査しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二の3及び4について

 脳死下での臓器提供事例については、社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)が、公表について臓器の提供者の遺族の同意が得られた臓器提供施設名、臓器の提供者の年齢、性別及び原疾患等の情報を公表している。お尋ねの「ドナーが生じた理由」については、遺族の同意が得られた場合には臓器の提供者の原疾患に含めて公表しているが、臓器の提供者や遺族のプライバシーの保護や心情への配慮から、遺族の同意の有無にかかわらず一律に公表することは、適切ではないと考えている。
 脳死下での臓器提供事例については、ネットワークに対して、公表について遺族の同意が得られた情報をそのホームページ上で公表するよう指導していきたい。