質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一〇号

内閣参質一八〇第一一〇号
  平成二十四年五月二十二日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員山谷えり子君提出電磁波問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出電磁波問題に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「電磁波問題」について、総務省では従前より、電磁波の健康への影響に関して、実験動物等を用いた調査や子供の携帯電話の使用による影響調査等による研究成果等について、同省のホームページ等での公表を行っている。厚生労働省では、平成二十三年七月に携帯電話からの電磁波による発がんリスク等の情報提供の在り方に関する研究を開始し、平成二十四年五月中に報告書を取りまとめる予定である。また、環境省では、電磁波の健康への影響等に関する小冊子を同年三月に改訂し、地方公共団体等への配布や同省のホームページでの公表を行っている。さらに、平成八年以降、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省及び環境省からなる電磁界関係省庁連絡会議を開催しており、電磁界の健康への影響に関する最新の知見等について情報交換を行っているところである。
 今後とも、世界保健機関(以下「WHO」という。)による電磁波の健康への影響に関する検討状況等について情報の収集に努めるとともに、携帯電話からの電磁波による発がんリスクを始めとする健康への影響について得られた研究成果等を国民に情報提供する等、必要な対応を行ってまいりたい。

二について

 携帯電話用基地局から発射される電磁波による影響を理由として健康被害を訴える方がいることは承知しているが、電波法施行規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十四号)第二十一条の三の規定により定める基準(以下「現行の基準」という。)は、国際非電離放射線防護委員会により平成十年四月に発表され、WHOが遵守することを推奨している「時間変化する電界、磁界及び電磁界による曝露を制限するためのガイドライン(三百ギガヘルツまで)」に定められている基準(以下「ガイドライン基準」という。)と同等なものである。また、WHOが「基地局および無線技術」についての正式見解を示したファクトシートのナンバー三百四(以下「WHOファクトシート」という。)においては、携帯電話用基地局等からのガイドライン基準以下の弱いRF(無線周波)信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されており、政府としては、お尋ねの「基地局から発せられる電磁波によって症状が出ている」ことについては、現時点では科学的に確認されていないものと認識している。なお、携帯電話用基地局から発射される電磁波が太宰府市立太宰府東小学校の児童に与える影響について、文部科学省においてヒアリング等の調査は行っていない。

三について

 二についてで述べたとおり、現行の基準はガイドライン基準と同等なものである。WHOファクトシートにおいては、有害レベルのRF電磁界から周辺地域の住民を防護するため、各国はガイドライン基準を採用すべき旨の見解が示されており、政府としては、現行の基準が「欧州諸国に比べると非常に甘い基準値となっている」との御指摘は当たらないと考えている。

四について

 二についてで述べたとおり、WHOファクトシートにおいては、携帯電話用基地局等からのガイドライン基準以下の弱いRF信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されており、政府としては、御指摘の国による「調査の支援」については、電磁波の健康への影響に関するWHOの国際電磁界プロジェクトの動向や今後の国内外の調査研究の進展を踏まえつつ、その必要性も含め検討してまいりたい。

五について

 二についてで述べたとおり、WHOファクトシートにおいては、携帯電話用基地局等からのガイドライン基準以下の弱いRF信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されており、政府としては、携帯電話用基地局について、「健康と財産を守るためには位置情報の公開が必要」であるとは、現時点では考えていない。

六について

 二についてで述べたとおり、現行の基準はガイドライン基準と同等なものであり、WHOファクトシートにおいては、携帯電話用基地局等からのガイドライン基準以下の弱いRF信号による健康への影響について説得力のある科学的証拠はない旨の見解が示されており、政府としては、御指摘のような規制が必要であるとは、現時点では考えていない。