質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第九四号

内閣参質一八〇第九四号
  平成二十四年五月十八日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員浜田昌良君提出原子力安全委員会の機能不全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出原子力安全委員会の機能不全に関する質問に対する答弁書

一について

 四国電力株式会社の伊方発電所三号機の御指摘の一次評価については、経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)が確認を行い、平成二十四年三月二十六日にその結果を「四国電力(株)伊方発電所三号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する審査書」(以下「伊方審査結果」という。)として取りまとめ、同日、内閣府原子力安全委員会(以下「原子力安全委員会」という。)に提出しているが、原子力安全委員会においては、その確認を行うための会合の開催等は行っていない。

二について

 お尋ねについて、平成二十四年一月三十一日に閣議決定し、今国会に提出した原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案(以下「法律案」という。)においては、原子力安全委員会を廃止することとし、施行日を同年四月一日としているところ、原子力安全委員会としては、先の見通しが立たない状況にあるので、同年三月二十六日に保安院から提出のあった伊方審査結果の確認を行うための会合の開催等は行っていない。また、細野内閣府特命担当大臣としては、原子力安全委員会の独立性を尊重する立場から、当該確認を行うことについて、原子力安全委員会に対して具体的に要請はしていない。

三について

 枝野経済産業大臣は、御指摘の番組において、御指摘の趣旨の発言を行っている。経済産業省としては、現行体制下においては、定期検査で停止中の原子力発電所の安全性について、平成二十三年七月十一日に内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣において取りまとめた「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入等)」(以下「三大臣取りまとめ」という。)に示されているとおり、原子力事業者が評価した結果について保安院が確認し、更に原子力安全委員会がその妥当性を確認することが政府の方針であると考えている。

四について

 原子力安全委員会は、法令上、原子力発電所の再稼働を判断する権限を有しておらず、御指摘の判断基準それ自体については関知していないが、細野内閣府特命担当大臣においては、原子力安全委員会から「関西電力株式会社大飯発電所三号機及び四号機の安全性に関する総合的評価(一次評価)に関する原子力安全・保安院による確認結果について」(平成二十四年三月二十三日原子力安全委員会取りまとめ)についての説明、保安院から「東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の技術的知見について」(平成二十四年三月二十八日保安院取りまとめ)に記載されている今後の規制に反映するべきと考えられる三十項目の安全対策についての説明等を受け、その上で、野田内閣総理大臣、藤村内閣官房長官、枝野経済産業大臣及び細野内閣府特命担当大臣(以下「四大臣」という。)において、この一年間に政府として積み重ねてきた対策や知見を御指摘の判断基準として取りまとめている。
 なお、原子力安全委員会は、経済産業大臣が指示し、原子力事業者が実施した緊急安全対策やシビアアクシデントへの対応措置について、原子力発電所の安全性の向上に資するものであるとしており、また、関西電力株式会社大飯発電所三号機及び四号機に係る一次評価に関する保安院による確認結果について、緊急安全対策等の一定の効果が示されたことは一つの重要なステップであり、今後、二次評価を速やかに実施するとともに、より一層の安全性向上に向けた継続的改善に努めることが肝要であるとしており、さらに、原子力発電所の安全性について、原子力事業者自らが安全性向上に向けた取組を継続的に行い、規制当局による安全基準が段階的に向上していくことを期待するとしている。四大臣においては、こうした見解等も踏まえ、御指摘の判断基準を取りまとめている。

五について

 定期検査で停止中の原子力発電所の安全性については、三大臣取りまとめにおいて示されているとおり、原子力事業者が評価した結果について保安院が確認し、更に原子力安全委員会がその妥当性を確認することとなっている。一方、政府としては、原子力規制庁を早期に発足させるべく、法律案の早期成立を目指している。