質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第八五号

内閣参質一八〇第八五号
  平成二十四年四月二十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員糸数慶子君提出PAC3配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出PAC3配備に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、北朝鮮により「人工衛星」と称するミサイルが発射され、当該ミサイルが事故等により我が国に落下する場合に備え、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十二条の三第三項に基づき防衛大臣が破壊措置の命令を発し、ペトリオット・ミサイルPAC―三(以下「PAC―三」という。)等を展開するなどし、我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するための必要な態勢をとったところである。

二について

 防衛大臣が「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令」(以下「破壊措置等実施行動命令」という。)を発出した平成二十四年三月三十日から同大臣が「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の終結に関する自衛隊行動命令」(以下「破壊措置等終結行動命令」という。)を発出した同年四月十三日までの間において、自衛隊法第八十二条の三第三項の規定による弾道ミサイル等に対する破壊措置(以下「破壊措置」という。)を実施するために沖縄県の沖縄島、宮古島及び石垣島に派遣されていたBMD統合任務部隊の要員並びに同法第八十三条の規定による災害派遣の実施に備えて沖縄県の宮古島、多良間島、石垣島及び与那国島に派遣されていた西部方面隊等の要員の合計は、最も多い日で、沖縄島が約百三十名、宮古島が約百三十名、多良間島が五名、石垣島が約四百五十名、与那国島が約五十名である。

三について

 破壊措置を行う自衛隊の部隊の武器等の警護の手法については、これを明らかにすることにより、今後の自衛隊の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控えたいが、自衛隊法第九十五条の規定により、自衛官は、自衛隊の武器等を職務上警護するに当たり、武器を使用することができ、破壊措置等実施行動命令に基づき展開したPAC―三を職務上警護していた自衛官は、PAC―三が展開していた地区において武器を所持していたところである。

四について

 政府としては、平成二十四年三月二十七日に防衛大臣が「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の準備に関する自衛隊一般命令」を発出し、PAC―三の具体的な展開候補地の調査等を行い、同月三十日に同大臣が破壊措置等実施行動命令を発出し、PAC―三の展開等を行った。
 同年四月十三日に北朝鮮により「人工衛星」と称するミサイルが発射され、北朝鮮のミサイルが我が国に落下することがないと確認されたことから、同日に同大臣が破壊措置等終結行動命令及び「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の終結に伴う措置に関する自衛隊一般命令」を発出し、一連の措置を終結した。
 これらの一連の措置に要した経費については、自衛隊を恒常的に維持していくための経費として計上された人件費、燃料費等の中から支出されるため、当該措置に係る経費を抽出してお答えすることは困難である。

五について

 全国瞬時警報システムは、緊急時において緊急情報を迅速に国民に伝達し避難等を促すため、音声によって国民に対し直接警報を行うものであり、今回の北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイルの発射に関しては、ミサイルが沖縄県の上空を通過する場合を含め、我が国の安全上何らかの影響がある場合に使用することを考えていたが、平成二十四年四月十三日の「人工衛星」と称するミサイルの発射については、我が国の安全に影響があるものではなかったため、これを使用しなかったところである。