質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第八四号

内閣参質一八〇第八四号
  平成二十四年四月二十四日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員藤井基之君提出後発医薬品の使用促進と医療費改定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤井基之君提出後発医薬品の使用促進と医療費改定に関する質問に対する答弁書

一について

 薬価の算定においては、原則として、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品並びに同項各号に掲げる医薬品に係る同法第十四条又は同法第十九条の二の規定による製造販売の承認(以下単に「承認」という。)を受けた者が当該承認を受けた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果(以下「有効成分等」という。)が同一であって形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る承認を受けた場合における当該医薬品を先発医薬品と呼び、同法第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品と有効成分等が同一性を有する医薬品として承認を受けた医薬品であって先発医薬品以外のものを後発医薬品と呼んでおり、この場合において、後発医薬品とジェネリック医薬品は同じ意味で用いている。

二について

 御指摘の加算における医薬品の一般的名称とは、「医薬品の一般的名称の取扱いについて」(平成十八年三月三十一日付け薬食発第〇三三一〇〇一号厚生労働省医薬食品局長通知)による命名申請手続等により命名された医薬品の一般的名称を意味するものであり、厚生労働省のホームページに医薬品の一般名処方の記載例を掲載することにより、医師に対する医薬品の一般的名称の周知を行っている。
 また、御指摘の加算により医薬品の一般的名称を記載した処方箋の発行が促進され、保険薬局で後発医薬品(一についてで述べた後発医薬品をいう。以下同じ。)の調剤が行いやすくなることから、後発医薬品の一層の使用促進が図られると考えており、後発医薬品の使用状況については、今後、平成二十四年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査として調査を予定している。

三について

 御指摘の数値目標については、平成十九年五月に厚生労働省が策定した「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」(以下「プログラム」という。)において、その当時の後発医薬品の数量シェアの倍増を目指して、平成二十四年度までに後発医薬品の数量シェアを三十パーセント以上にするという目標を掲げたものである。

四について

 平成二十二年度診療報酬改定により、保険薬局の後発医薬品の調剤数量割合に応じた加算の創設等の措置を講じたところ、平成二十一年九月及び平成二十三年九月の医薬品価格調査(以下「薬価調査」という。)の結果によると、後発医薬品の数量シェアは平成二十一年九月の二十・二パーセントから平成二十三年九月には二十二・八パーセントとなり、後発医薬品の使用促進に一定の効果があったと考えている。
 さらに、平成二十四年度診療報酬改定により、保険薬局による患者への後発医薬品の情報提供に対する評価、処方箋の様式の変更等の措置を講じたことから、後発医薬品の一層の使用促進が図られると考えており、後発医薬品の使用状況については、今後、同年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査として調査を予定している。

五について

 後発医薬品の調剤数量割合の計算に当たって除外することとしている、先発医薬品(一についてで述べた先発医薬品をいう。以下同じ。)より薬価が高額な後発医薬品の成分数と品目数は、それぞれ五成分、十三品目であり、先発医薬品と薬価が同額の後発医薬品の成分数と品目数は、それぞれ二十三成分、六十五品目である。平成二十三年九月の薬価調査の結果によるこれらの後発医薬品の取引数量を踏まえると、調剤数量割合の計算に当たってこれらの後発医薬品を除外することによる影響については、極めて小さいものと考えている。
 また、同年三月審査分の調剤報酬明細書によると、漢方製剤及び生薬を分母から除外した場合の後発医薬品の調剤数量割合は、これらを除外しない場合に比べて、約二パーセント程度高いと推計される。

六について

 御指摘の薬価の追加引下げについては、プログラムにおいて掲げた平成二十四年度までに後発医薬品の数量シェアを三十パーセント以上にするという目標を達成すると仮定した場合に、平成二十三年九月時点の後発医薬品の使用状況等に照らして、同月時点で見込まれた医療費の減少額を年間約五百億円と推計し、中央社会保険医療協議会の議論を踏まえ、その半分の年間約二百五十億円の医療費の減少額に相当する薬価の追加的な引下げを行ったものである。
 また、年間約二百五十億円の内訳として、後発医薬品がある先発医薬品については年間約二百二十五億円の医療費の減少額に相当する薬価の追加的な引下げを、後発医薬品については年間約二十五億円の医療費の減少額に相当する薬価の追加的な引下げを、それぞれ行うこととし、同月の薬価調査の結果に基づき、後発医薬品がある先発医薬品については〇・八六パーセント、後発医薬品については〇・三三パーセントの薬価の追加的な引下げを行ったものである。

七について

 平成二十四年度薬価改定においては、例えば、先発医薬品及びその後発医薬品のような、組成、剤形区分及び規格が同一である全ての医薬品からなる医薬品の群(以下「医薬品群」という。)について、個々の医薬品ごとにその市場における実勢価格に基づき算出される額(以下「算出額」という。)が最も高い医薬品の算出額を基準として、医薬品群に属する医薬品を算出額に応じて一定の範囲ごとに区分し、それぞれの区分に属する医薬品の算出額の取引数量に応じた加重平均額を用いて、それぞれの区分ごとに薬価を算定すること等としたものである。
 この結果、例えば、薬価の価格帯が最も多い医薬品群の価格帯数については、改定前の十九から改定後には十四となり、薬価の価格帯数が十以上の医薬品群については、改定前の六十五から改定後には七となった。

八について

 平成二十四年度診療報酬改定については、厳しい財政状況と現在の日本の医療の課題への対応を両立させるため、診療報酬全体でプラス〇・〇〇四パーセントの改定率とし、病院勤務医等の負担軽減、在宅医療の充実等の必要な分野に重点的な配分を行ったものである。
 なお、御指摘の薬価の追加引下げについては、医療の質を下げることなく、プログラムにおいて掲げた同年度までに後発医薬品の数量シェアを三十パーセント以上にするという目標を達成すると仮定した場合に、平成二十三年九月時点で見込まれた医療費の減少額の範囲内において行ったものである。

九について

 御指摘の後発医薬品の信頼性の確保については、平成二十四年度予算において、患者や医療関係者が安心して後発医薬品を使用することができるよう、後発医薬品の信頼性の向上を図るための経費等として約四億八千万円を計上しており、厚生労働省としては、同年度中に後発医薬品の一層の使用促進のためのロードマップを作成し、後発医薬品の品質及び安定供給の確保並びに情報提供体制の強化に取り組んでいきたい。