質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一八〇第六六号
  平成二十四年三月二十七日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 岡田 克也   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員水野賢一君提出東京電力福島第一原発への津波の想定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野賢一君提出東京電力福島第一原発への津波の想定に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 お尋ねについては、経済産業省原子力安全・保安院等が東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(以下「検証委員会」という。)に対して説明しているところであり、検証委員会が平成二十三年十二月二十六日に取りまとめた「中間報告」(以下単に「中間報告」という。)によれば、「平成二十三年三月七日、保安院において東京電力に対するヒアリングが行われ、・・・東京電力は、(中略)福島第一原発・・・における津波評価、対策の現状につき、以下の内容を説明した。津波評価については、資料を使いながら、①平成十四年の津波評価技術で示されている断層モデルを用いた試算結果、②平成十四年の推本の長期評価に対応した断層モデルに基づいて試算した福島第一原発・・・における想定波高の数値が(ケース一)明治三陸沖地震(千八百九十六年)の・・・場合には、・・・八・四メートルから十五・七メートルまで、・・・(ケース二)房総沖地震(千六百七十七年)の・・・場合には、・・・六・八メートルから十三・六メートルまで・・・となるが、平成二十二年十二月の津波評価部会で・・・福島県を含む南部領域については前記房総沖地震・・・を参考に波源を設定する旨の方針が出されていること、③貞観津波に関する佐竹論文の断層モデルを用いた場合、・・・八・七メートルから九・二メートルまで・・・となることを説明した。さらに、・・・津波対策については、平成二十四年十月・・・までに対策工事を完了させるのは無理である旨説明した。このような東京電力の説明に対し、保安院の室長らは、「四月の推本の公表内容によっては、保安院から指示を出すこともある。また、女川のバックチェック最終報告の審議において貞観津波が話題になることが予想され、その審議状況によっては口頭で指示を出すこともあり得る。」(中略)旨を述べた。このように、保安院は、何らかの指示を今後行うことがあり得る旨の予告については行ったが、他方で東京電力に対し、対策工事を実施するよう明確に・・・求めるなどの踏み込んだ対応は行わなかった」とされているところである。

四について

 お尋ねの点について、現時点において断定的な評価を行うことは困難であるが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故(以下「原発事故」という。)に関する政府の対応について、中間報告によれば、「この事故の発生及びその後の対応について生じた問題の多くは、①津波によるシビアアクシデント対策が欠如していたこと、②原子力事故が複合災害として発生するという視点が欠如していたこと及び③原子力災害を全体的に見る視点が欠如していたことの三つが大きく影響している」とされているところである。また、原発事故の原因を究明するための調査・検証については、現在、検証委員会において、中立的な立場から多角的に行われているところであり、平成二十四年夏頃に最終報告がなされる予定であると承知している。
 政府としては、検証委員会の中間報告及び最終報告を踏まえた上で、不十分であった点については十分反省し、今回の事故を教訓として、原子力事故の再発防止に万全を期してまいりたい。