第180回国会(常会)
答弁書第六二号 内閣参質一八〇第六二号 平成二十四年三月二十三日 内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿 参議院議員福島みずほ君提出東京外郭環状道路の建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員福島みずほ君提出東京外郭環状道路の建設に関する質問に対する答弁書 一について 政府としては、東日本大震災からの復旧・復興は優先課題であると認識しているとともに、首都圏の慢性的な渋滞の緩和及び首都直下地震等の災害発生時の避難や救助、その後の復旧活動等のためには、東京外かく環状道路の整備が必要であると認識している。 二の1について 東京外かく環状道路のうち東京都練馬区から同都世田谷区までの区間(以下「東京外環(関越~東名)」という。)の一キロメートル当たりの事業費は約七百九十一億円と見込んでおり、供用中の高速自動車国道の一キロメートル当たりの事業費の平均は、約四十二億円である。 二の2について お尋ねの「試算」は行っていないが、国土交通省においては、今後の自動車交通量の減少等を踏まえ、料金水準、管理費等に係る一定の条件の下で、東京外環(関越~東名)の事業費一兆二千八百二十億円のうち一割から三割程度は料金収入で償還することが可能であると試算し、平成二十一年四月二十七日の第四回国土開発幹線自動車道建設会議において、お示ししたところである。 三について 東京外環(関越~東名)の耐震設計については、公益社団法人土木学会が発行する「トンネル標準示方書」及び「道路橋示方書」(平成二十四年二月十六日付け国都街第九十八号・国道企第八十七号国土交通省都市局長及び道路局長通達別添)に基づき、これまでに発生した大規模なプレート境界型の地震動及び内陸直下型の地震動の双方に対し、所要の耐震性能を確保することとしている。 また、火災その他の事故等が発生した場合の被害を最小限にとどめるため、「道路トンネル非常用施設設置基準」(昭和五十六年四月二十一日付け都街発第十四号・道企発第十四号建設省都市局長及び道路局長通達別添)に基づき、消火設備や避難誘導設備等を設置することとしている。 四について 平成十九年三月に東京都が実施した東京外環(関越~東名)の環境影響評価(以下単に「環境影響評価」という。)において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、地盤及び地下水が酸性化したり、酸性化に伴いガスが発生することはないため、地下水の水質は保全されると予測されている。なお、事業実施段階においては、地元の区及び市等の関係機関と協議し、地下水及び土壌の汚染状況等を詳細に調査した上で、水質試験の追加実施の必要性について検討することとしている。 五について 環境影響評価において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、八の釜憩いの森は消失すると予測されている。なお、東京都練馬区登録の天然記念物である「八の釜の湧き水」も含めた八の釜憩いの森の環境保全措置については、地元の区及び市等の関係機関と協議の上、地元住民等の意見を聴きながら、検討を進めることとされており、現在、地形の改変を極力少なくするよう検討しているところである。 六について 環境影響評価において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、石神井公園における地下水の水位の変化及びそれに伴う池沼の水位の変化はほとんど生じないことから、同公園内の三宝寺池沼沢植物群落が成立する生育環境は保全されると予測されている。 |