質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第六〇号

内閣参質一八〇第六〇号
  平成二十四年三月二十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員岩井茂樹君提出東日本大震災において発生した災害廃棄物の処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岩井茂樹君提出東日本大震災において発生した災害廃棄物の処理に関する質問に対する答弁書

一について

 東日本大震災により生じた廃棄物(以下「災害廃棄物」という。)の量については、環境省において、岩手県の沿岸市町村における災害廃棄物が約四百七十五万五千トン、宮城県の沿岸市町村における災害廃棄物が約千五百六十九万千トン、福島県の沿岸市町村における災害廃棄物が約二百八万二千トンと推計している。
 また、岩手県の沿岸市町村における災害廃棄物の種類別及び性状別の量については、同県の推計によれば、不燃系混合物が約百十三万二千トン、可燃系混合物が約百三万四千トン、コンクリートがらが約九十万四千トン、金属くずが約六十七万二千トン、柱材・角材が約五十二万四千トン、畳が約一万トン、その他が約七万七千トンで、合計約四百三十五万三千トンと承知しており、気仙沼市及び南三陸町を除く宮城県の沿岸市町村における災害廃棄物の種類別及び性状別の量については、同県の推計によれば、不燃物が約五百八十一万四千トン、木くずが約二百九十七万三千トン、コンクリート・アスファルトくずが約二百七十三万六千トン、金属くずが約三十五万八千トン、可燃物が約三十五万四千トンで、合計約千二百二十三万五千トンと承知している。さらに、いわき市を除く福島県の沿岸市町村における災害廃棄物の種類別及び性状別の量については、同省において調査を行い、不燃物が約六十一万五千トン、可燃物が約四十九万八千トンで、合計約百十一万三千トンと把握している。なお、災害廃棄物の量と種類別及び性状別の量については、同省、岩手県及び宮城県の推計方法がそれぞれ異なること等から、岩手県、宮城県及び福島県の沿岸市町村における災害廃棄物の量と種類別及び性状別の量の合計は、一致していない。

二について

 現在、岩手県宮古市と財団法人東京都環境整備公社との間で行われている広域的な処理の事例によれば、災害廃棄物の運搬は、列車及び自動車により二日間を要しており、その費用は、一トン当たり約二万円を要していると承知している。
 災害廃棄物の広域的な処理の際に必要となる運搬手段や費用、時間等については、災害廃棄物の量や性状、運搬距離等により異なることから、一概にお示しすることは困難であるが、災害廃棄物の処理に関する基本的な方針、災害廃棄物の処理の内容及び実施時期等を明らかにした工程表(以下単に「工程表」という。)に沿って、被災地以外の施設を活用した広域的な処理を含め、災害廃棄物の処理を支援することとしている。

三について

 お尋ねについては、環境省において、災害廃棄物の広域的な処理に先立って被災地の地方公共団体と災害廃棄物の受入れを検討している地方公共団体等との間で行われる協議に際し、両者からの相談に応ずる等の支援を行うこととしており、その過程で災害廃棄物の広域的な処理に要する費用に関する情報についても把握し得るものと考えている。

四について

 災害廃棄物については、できる限り被災地で処理を行うこととしており、岩手県及び宮城県において二十五基の仮設焼却炉等の整備が進められているが、それでもなお処理能力が不足しており、被災地での処理のみでは、工程表において災害廃棄物の中間処理・最終処分の完了目標としている平成二十六年三月末までに処理を完了させることが困難であるとともに、被災地の復興のためには一刻も早く災害廃棄物を処理する必要があることから、広域的な処理が必要と考えている。