質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第四八号

内閣参質一八〇第四八号
  平成二十四年三月十三日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員森まさこ君提出農家経営を圧迫している廃用牛の出荷滞留に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出農家経営を圧迫している廃用牛の出荷滞留に関する質問に対する答弁書

一について

 原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二十条第三項の規定に基づく原子力災害対策本部長の指示により、御指摘の「廃用牛」をと畜場へ出荷することができず、新たに繁殖雌牛、搾乳牛等を飼育することができない畜産農家(以下「出荷滞留農家」という。)の経営の安定を図るため、岩手県及び宮城県では、県立畜産試験場の牧場等において「廃用牛」の飼養管理を一元的に行う取組を実施している。農林水産省においては、出荷滞留農家が存在する可能性があるその他の県に対し、このような取組の内容に関する情報の提供及び技術的な助言を行っているところである。
 また、出荷滞留農家が飼養管理に要する経費については、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成二十三年八月五日原子力損害賠償紛争審査会決定)において、「事業への支障を避けるため又は事業を変更したために生じた追加的費用(代替飼料の購入費用、汚染された生産資材の更新費用等)も、必要かつ合理的な範囲で賠償すべき損害と認められる」とされていることを踏まえ、農林水産省としては、東京電力株式会社に対し、出荷滞留農家が迅速かつ適切な賠償を受けられるよう促していく考えである。

二について

 農林水産省においては、都道府県に対し、平成二十三年に生産された牧草等の粗飼料について、都道府県が行う放射性物質の値に関するモニタリング(以下「モニタリング」という。)の結果を基に利用の可否を判断するよう指導を行っている。また、都道府県からの要請に応じ、モニタリングの計画の策定に関する助言、放射性物質の検査及び当該検査のための測定機器の導入に要する費用の助成並びに当該機器の貸付けを行っていく考えである。
 粗飼料の確保対策については、農林水産省において、飼料の輸入を行う者に対し、今後必要になると見込まれる量の粗飼料を確保するよう要請するとともに、国産粗飼料の全国的な需給動向を把握し、出荷滞留農家等に対し、粗飼料をあっせんしているところである。
 お尋ねの「使用できない牧草等」の廃棄物対策については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)等の関係法令に従い、国又は市町村が適切に処理を進めていくこととなる。