質問主意書

第180回国会(常会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一八〇第三八号
  平成二十四年三月二日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員浜田昌良君提出ガラスバッジ測定結果の総点検に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出ガラスバッジ測定結果の総点検に関する質問に対する答弁書

一について

 政府においては、平成二十三年十二月二十八日に、二本松市から、中学生一名の個人積算線量計から三か月間で一・六ミリシーベルトの放射線量が計測されたため、当該中学生の住宅において放射線量を測定したところ、周辺より高い値が計測されたとの報告を受けたことから、その原因を特定すべく、同市と共同で関係者から事情を聴く等の調査を行ったところ、当該住宅のあるマンション(以下単に「マンション」という。)の基礎部分に用いられた砕石が原因となった可能性があることが、平成二十四年一月六日に判明した。これを受け、経済産業省においては、同日より砕石の流通及び使用実態の調査を行ったものである。

二から四までについて

 政府においては、福島県と協議を行い、平成二十四年一月三十日に、同県に対して、各市町村における個人積算線量計による住民の被ばく線量の測定結果(以下単に「測定結果」という。)について、同県を通じて政府に速やかに提供するよう各市町村に依頼することを求めている。政府においては、同県より測定結果の提供を順次受けており、現在、その分析を行っているところである。

五について

 お尋ねの点のうち①については、マンションの基礎部分に用いられた砕石が採取された採石場において汚染された可能性のある砕石については、流通及び使用実態の調査を実施しているところであり、当該調査においては、内閣府、経済産業省、国土交通省等の関係府省及び地方公共団体が連携し、これらの砕石が使用されている住宅等であって居住者等の了解が得られたものについて、平成二十三年度末までに放射線量の測定を完了させることを目指している。また、当該調査の結果については、政府において定期的に公表することとしており、平成二十四年二月十五日に最初の公表を行ったところである。
②については、専門家による検討会を開催し、学識経験者等の意見を聴きつつ、平成二十三年度末までに砕石の出荷基準の策定を目指すこととしている。
③については、採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)及び砂利採取法(昭和四十三年法律第七十四号)は、国等において採石業者及び砂利採取業者(以下「採石業者等」という。)に対して岩石及び砂利の採取に伴う災害の防止並びに岩石及び砂利の採取事業の健全な発達を図るために必要な指導等に努めるものとすると規定し、また、都道府県知事等において岩石及び砂利の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは採石業者等に対して採取に伴う災害の防止のために必要な措置をとるべきこと等を命ずることができると規定しているが、放射性物質に汚染された可能性のある砕石及び砂利の出荷や流通については、採取に伴う災害には該当せず、また、採取事業の健全な発達に係るものではないことから、これらの法律に基づいた指導や緊急措置命令を行うことは困難であると考える。
 なお、これまでの調査結果から、年間推計積算線量が百ミリシーベルトを超える地域からの砕石の出荷や流通は、現在は停止していることを確認しているところである。
④については、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)において、マンションの所有者が受けた損害について、東京電力の福島第一原子力発電所の事故による風評被害に該当する可能性があるものとして、賠償を行うことを検討していると承知している。政府においては、現在、汚染された可能性のある砕石の流通及び使用実態の調査を進めており、今回の事態に至った経緯や被害の実態について把握に努めているところ、東京電力において当該調査の結果も踏まえ、必要に応じその他の賠償を行うことについても検討するものと承知しており、被害者に対して適切な賠償を行うよう、東京電力に対して引き続き促してまいりたい。
⑤については、お尋ねの「関連事業者に対する緊急つなぎ融資」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、東日本大震災により被害を受けた中小企業者等に対して低利融資を行う等の支援制度が存在し、こうした制度の活用が可能であると認識している。
⑥については、本事案を受け、原子力災害対策本部において、当面の対応を取りまとめ、関係府省に対して同様の事案が起きるおそれがないか注意喚起を行っているところである。

六について

 お尋ねについては、住民の不安の低減等のために、今後どのような対応をしていくことが適当か、福島県及び関係市町村とも協議の上、検討してまいりたい。