質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二五九号

出産育児一時金の受取代理制度の拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年九月七日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   出産育児一時金の受取代理制度の拡充に関する質問主意書

 出産育児一時金制度は、健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険などの被保険者又はその被扶養者(以下「被保険者等」という。)が出産したとき、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度である。少子化が進行している現在において、被保険者等の経済的負担を軽減する制度として、一層重要性を増している。
 手続としては、被保険者等が出産費用を全額医療機関に支払い、その後、保険者に申請して受け取る償還払い制度があるが、高額な出産費用を一括で支払う必要があり経済的な負担が大きい。そこで、平成二十一年十月に、被保険者等の経済的な負担を軽減し、医療機関等における未収金の減少などの効果がある直接支払制度が導入された。その一方、直接支払制度では、医療機関等への支払までに一定の期間を要することや医療機関等における事務負担が大きいなどの問題点が指摘されている。そのため、平成二十三年四月より、資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設や事務負担が過大となる小規模の施設について受取代理制度が導入されることとなった。平成二十四年六月一日現在、受取代理制度を導入している機関は、全国で二百三十六機関、神奈川県内では二十機関であり、順調に普及される状況に至っているとはいえない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 「出産育児一時金等の受取代理制度実施要綱」(以下「実施要綱」という。)では、受取代理制度の対象医療機関等として、年間の平均分娩取扱い件数が百件以下、収入に占める正常分娩に係る収入の割合が五十パーセント以上の診療所や助産所が目安とされているが、その根拠について明らかにされたい。また、この目安については緩和すべきではないかと考えるが、野田内閣の見解を示されたい。さらに、現在、受取代理制度を導入している医療機関等の数と病床数を都道府県別に示されたい。

二 一般的に償還払い制度を利用した場合、出産育児一時金の支払までに要する期間について、保険者別に、厚生労働省が把握している範囲で明らかにされたい。

三 受取代理制度の利用対象者について、実施要綱では、「被保険者等又はその被扶養者が出産予定日まで二か月以内の者とする」と規定されている。そのため、例えば三か月前や四か月前など、出産予定日まで二か月よりも前に手続ができないため、結果として、医療機関への支払負担が全て解消されていないものと考えられることから、「二か月以内」との期間については、延長することも含め弾力的に扱うべきであると考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

四 受取代理制度は、直接支払制度を導入することが困難な医療機関等にとって、被保険者等の経済的負担の軽減との両立を図ることが可能な優れた制度であるといえる。今後、受取代理制度を一層充実し拡大させていくことが必要であると考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。特に、償還払い制度のみの利用に限定されている地方等の小規模医療機関等については、受取代理制度の導入を積極的に行うべきであると考えるが、併せて野田内閣の見解を示されたい。

  右質問する。