質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二三〇号

東京電力株式会社による法人への損害賠償に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月九日

森 まさこ   


       参議院議長 平田 健二 殿



   東京電力株式会社による法人への損害賠償に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故の損害賠償について原子力損害賠償紛争審査会、経済産業省及び東京電力から指針が示されているが、その内容は被害者の救済に資するとはいえないものもある。そこで、以下の点について政府に質問する。

一 事業者が事業を再開するには多額の費用が必要となる。そこで、営業損害等の一括支払の算定期間を延長し、より多額を一括で受け取ることができるよう指針を改めないのか。政府の見解を示されたい。

二 従業員の退職が多数発生することにより、事業者は平年以上に退職金の支払が必要となっている。そこで、このような平年以上に生じる過剰な退職金を賠償の対象としないのか。政府の見解を示されたい。

三 東京電力から避難生活等による精神的損害に対しては損害賠償がなされているが、法人に対しては営業損害等を賠償するのみで慰謝料に相当する損害賠償の支払がなされていない。このような法人への慰謝料に相当する損害賠償の扱いについて、金銭評価が可能な無形損害への賠償の可能性も含めて、政府の見解を示されたい。

四 逸失利益の算定の際に事業者の「特別の努力」を反映するという東京電力の賠償基準について、法人の場合には資本金の額又は出資金の額が一億円以下の法人とされている。しかし、このような基準で賠償額への「特別の努力」が反映される対象を区別する理由はないと考えるが、この点について政府の見解を示されたい。

五 賠償額に反映される「特別の努力」については、その額に上限を設けるべきではないと考える。この点について政府の見解を示されたい。

六 東京電力は「特別の努力」の反映の対象を平成二十四年三月一日以降の売上高としているが、営業損害は震災後から発生しているものであり、平成二十三年三月に遡って売上高を控除した上で減収率を計算し賠償額を支払うべきものと考える。この点について政府の見解を示されたい。

  右質問する。