質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二一九号

高等学校等就学支援金の加算基準の変更に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月九日

渡辺 猛之   


       参議院議長 平田 健二 殿



   高等学校等就学支援金の加算基準の変更に関する質問主意書

 公立高校授業料無償制、高等学校等就学支援金制度が始まって二年が経過した。本年に入って、扶養控除の見直しに伴う高等学校等就学支援金の加算基準が度々変更され、生徒、保護者、各自治体等、様々な関係者が混乱している。そこで、以下質問する。

一 平成二十四年二月三日の文部科学省初等中等教育局財務課高校修学支援室から出された「扶養控除見直しに伴う高等学校等就学支援金の変更について(事務連絡)」によると、平成二十三年八月に各都道府県に対して意向調査を実施した上で加算に係る対応を決めたとしている。結果的に、当該事務連絡における加算基準は適用されないことになったが、意向調査では各都道府県からどのような意見が提出されたのか。また、その意見は当初の加算基準設定の際にどのように反映されたのか。調査の前後で具体的にどのような変更や見直しがされたのか、検討経過、加算基準の見直しなどを含めて、具体的に示されたい。

二 平成二十四年度分の個人住民税から扶養控除が見直されることは、既に平成二十二年度税制改正大綱に盛り込まれた時点で決まっていたことである。この変更を念頭に、時間をかけて周知を図り、加算基準を検討していれば、このような混乱は起こらなかったと考えられる。文部科学省が加算基準の検討を始めた時期はいつなのか。都道府県への意向調査や事務連絡の時期が遅すぎたのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 平成二十四年六月十四日の「高等学校等就学支援金の加算支給に係る政令改正等について」という通知によると、一・五倍加算の基準の変更に関して、「不公平を解消し、従来の加算の対象世帯に不利な影響が出ないようにするため、子どもの数・年齢に応じた基準額(【新基準額】参照)を設定することが最も望ましいとの結論に達し」たということであるが、不利な影響は扶養控除の見直しを決定した時点から想定できたはずである。にもかかわらず、本年六月に新基準額の設定に関する通知を発出することとなった理由を示されたい。

四 政府部内で検討して新基準額を設定するという結論に達する過程で、直接事務に携わる私立学校の事務負担増などの影響は検討されたのか。また、検討されたのであれば、どのように評価されたのか明らかにされたい。

五 私立学校が、この加算基準で支援金の申請を行う場合、個別の家庭の事情に大きく介入することになる。政府は、こうした私人対私人の関係で、どこまで正確な把握が可能なものと考えているのか。正確に把握するための事務負担の過度な増大や、適切に把握できない可能性が大きい手法だとの批判に対する政府の見解を示されたい。

六 平成二十四年六月二十六日の「高等学校等就学支援金の加算基準の変更に係る政令改正について(事務連絡)」によると、「政令改正の日が七月一日を越える場合でも、加算基準の変更については、七月分の就学支援金からの適用を考えて」いるとしているが、既に政令改正は七月一日を過ぎた。これに伴う私立学校の事務負担及び家庭への影響をどのように考えているか、政府の見解を示されたい。

七 今回の加算基準の変更により、新たに就学支援金の加算を受けられると期待していたものの、実際には予告と異なり加算を受けられない者が生じることとなった。文部科学省はこのような者について、変更による混乱を回避するため、平成二十四年七月から平成二十五年六月までの一年間に限り、都道府県が授業料減免措置を講ずる場合には、加算に相当する額を高校生修学支援基金から取り崩すことができることとした。このような措置の対象になる者は何人で、当該基金からの取崩し額はどの程度になると見込まれるか、明らかにされたい。

  右質問する。