質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二一六号

東京電力福島第一原子力発電所の作業員の労働条件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年八月八日

谷岡 郁子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   東京電力福島第一原子力発電所の作業員の労働条件に関する質問主意書

 七月三十一日の参議院厚生労働委員会においても取り上げたことであるが、東京電力福島第一原子力発電所において事故収束に向けて過酷な環境下で作業を行っている作業員の労働環境や労働条件を整えることは、全日本国民の安全や安心の確保にもつながる重要な問題である。柳澤経産副大臣も東京電力福島第一原子力発電所で作業にあたる人の問題は非常に重要である旨の答弁を行っている。しかしながら、実際には何層にもわたる下請・孫請構造が存在していることや、労働者の放射線量管理のずさんさなどが明らかになってきている。東京電力福島第一原子力発電所を安全に廃炉へと導くためには、このような状態は早急に是正され、作業員のために少しでもよい環境が整えられるべきであるという観点から、以下質問する。

一 二〇一一年の東京電力福島第一原子力発電所の事故以前、原子力発電所の作業員の安全管理や労働環境について監督していた府省の部局を示されたい。また、その部局は事故以前にどのような方法で監督を行っていたのか、具体的にどのような頻度でどのようなチェックを行い、問題があった場合にどのような対処を行っていたのかを示されたい。仮に複数の府省でチェックや対処を行っている場合は、その各府省の役割分担や情報共有の方法についても明らかにされたい。

二 東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原発における労働者の安全管理や労働環境の問題は、国民の大きな関心事となった。また、一部のジャーナリストなどによって、劣悪な労働条件や多重下請構造、作業の危険度に見合わない低賃金、東京電力社員と下請会社社員の待遇の格差などが報じられている。最近も、原発作業員の線量計に鉛製のカバーが取り付けられていたことが発覚したばかりである。現在、政府はこのような情報に対して、どのような体制で収集、事実確認を行っているのか示されたい。また、国民の不安を解消するという観点から、それらの情報を収集し確認した結果は公開されるべきだと考えるが、政府はそれらの結果を、いつ、どのように公開するのか、示されたい。

三 前記の問題に関連して、そもそも原発労働者の安全管理や労働条件に関する体系的な指針やガイドラインは存在するのか、また、それらは公開されているのかを明らかにされたい。もし、公開されていない場合、その理由も併せて示されたい。

四 東京電力福島第一原子力発電所の作業は、今後何十年も続くと予想されるため、今後の作業員確保は急務である。政府は今後の作業のための人員確保の方策をどのように考えているのか、示されたい。

五 東京電力福島第一原子力発電所では、高い放射線量下かつ炎天下での作業に伴い、作業員の被ばく管理や熱中症対策などがより重要となっている。政府は東京電力福島第一原子力発電所における労働者の安全管理のために、事故後新たにどのような対策・指導を追加したのか、示されたい。また、この点に関連して、複数の作業員で使い回す防護用具等の状態やその維持管理体制、作業員の健康管理や衛生管理体制とその監督状況についても、具体的に示されたい。加えて、これらの安全・健康・衛生管理において、東京電力社員、元請会社社員、下請作業員の間の格差の有無、そのチェック方法についても説明されたい。

  右質問する。