質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一八九号

米エネルギー省提供の放射線測定データに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年七月十一日

山谷 えり子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   米エネルギー省提供の放射線測定データに関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故直後、平成二十三年三月十七日から十九日に米国エネルギー省が米軍機で放射線測定を実施し、詳細な「汚染地図」データを提供したにもかかわらず、政府は放置したまま公表せず、地域住民の避難に活用していないことが新たに判明した。
 報道によると、在日米国大使館経由で三月十八日と二十日の計二回、外務省に電子メールで提供され、同省が経済産業省原子力安全・保安院と、線量測定の実務を担っていた文部科学省に転送したが、いずれも公表せず官邸や原子力安全委員会にも伝えなかったとされる。
 本件に関し、以下質問する。

一 本データは、SPEEDIによる試算データと異なり、放射能の拡散方向を示す実測値が示されており、公表・活用されていれば住民が放射能拡散方向へと避難する事態を防げたと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 経済産業省と文部科学省の政務三役に本情報が報告されたのはいつか。また、防衛省は本情報をいつの時点で、どこから入手したのか。

三 SPEEDIの試算結果と本データの照合を実施したのか示されたい。

四 三月二十三日に米エネルギー省は、データをとりまとめて公表を開始し、同月二十四日以降は毎日~数日に一回の頻度で外務省から原子力安全・保安院を始めとする関係府省に対し実施結果を送付した。その後、四月六日~二十九日の間に米エネルギー省と文部科学省が共同して航空機モニタリングを実施し、その結果を五月六日に公表した。他方、政府が飯舘村など五市町村を「計画的避難区域」に指定したのは、事故から一カ月以上経過した四月二十二日であった。こうした対応の遅れの原因について示されたい。

五 外務省から原子力安全・保安院に送付された初期資料は、原子力災害対策本部事務局放射線班には共有されていたことが確認されているが、原子力災害対策本部事務局長等への共有は確認されていない。情報の伝達・共有に関する責任の所在を示されたい。また、今後の対策について示されたい。

六 防衛省は、三月十五日に簡易航空機モニタリング実施のため、原子力安全技術センターの測定要員二名と測定器を乗せた陸上自衛隊の航空機を離陸させたものの、四号機爆発の情報が入り、機長が安全に飛行できないと判断し飛行を中止した。このような事態に備え、無人航空機システムの導入についても検討の余地があると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 政府の不作為により本データが公表されず、甚大な被害を被った住民の方々への責任を政府としてどのように考えるか。また、これらの住民の方々に対する補償の検討について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。