質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一六六号

シリアの治安情勢に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年六月二十八日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   シリアの治安情勢に関する再質問主意書

 報道によれば、二〇一二年六月二十六日、シリアのアサド大統領は閣議において、「あらゆる角度から見てわれわれは真の戦争状態にある」と宣言した。さらに、「戦争状態にあるとき、全ての政策やあらゆる組織、部門は戦争の勝利に向けて動く必要がある」と述べ、総動員態勢で反体制派を壊滅させるよう命じたという。
 また、「シリアの治安情勢に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第一二〇号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第一二〇号)において、日本政府はシリア国内情勢について、PKO派遣の原則が保たれているとの見解を示している。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 シリアのアサド大統領の「真の戦争状態」の発言を、日本政府は確認しているのか。また、確認するため、日本政府はどのような手段を講じ、また、当該発言をどのように評価しているのか、明らかにされたい。

二 同大統領の前記発言を受けて、アサド政権はこれまで以上に反政権側に対して、軍事的攻勢を強めていると、日本政府は認識しているのか。また、政権側の反政権側への武力攻撃状況について、どのように把握しているのか、明らかにされたい。

三 首都ダマスカス近郊においても、野戦砲等を用いた大規模な戦闘が発生しているとの人権監視団体の報告がある。日本政府は、それらの情勢について、国連や現地派遣部隊、あるいは外交ルートを通じて確認しているか。また、ダマスカスの現在の治安状況を日本政府がどのように認識しているのか、明らかにされたい。

四 ダマスカスには、国連兵力引き離し監視隊(以下「UNDOF」という。)のダマスカス事務所も存在し、通常、我が国のUNDOF派遣部隊も輸送任務を実施している。現在のダマスカス及びその周辺の治安状況は、我が国派遣部隊の輸送任務が安全かつ円滑に実施可能であると認識しているのか。あるいは、一時休止や中断に該当する情勢と判断しているのか、日本政府の見解如何。また、更なる治安状況の悪化に伴い、我が国の派遣部隊のダマスカスへの輸送任務を休止、あるいは中断する可能性如何。

五 シリア軍将兵の国外逃亡や首都での大規模な戦闘発生について、アサド政権が権力を失いつつあるとの見方があるが、日本政府の見解如何。

六 六月二十六日段階で、シリア国連監視団が、治安悪化を理由に監視活動を休止している。当該国連監視団の活動が休止している地域には、一般的には我が国のUNDOF派遣部隊は輸送任務を行わないとの認識で良いか、日本政府の見解如何。

七 同大統領の「戦争状態」発言及び前記発言を受けての政権側と反政権側との戦いについて、我が国のPKO派遣の前提が担保されているとの認識であるか、日本政府の見解如何。

  右質問する。