質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一六四号

PCB廃棄物の保管状況等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年六月二十六日

横山 信一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   PCB廃棄物の保管状況等に関する質問主意書

 「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」により、PCB廃棄物を保管する事業者(以下「保管事業者」という。)は保管状況の届出のほか、平成二十八年七月までの処理が義務付けられている。しかしながら、国策会社である日本環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)によって行われているPCB廃棄物の処理は、同社処理施設でのPCB漏洩事故などもあって処理作業が遅れており、法律に基づく処理期限までに終える見通しが立っていない。これに伴い、保管事業者による保管期間が長期化する一方で、PCB廃棄物に係る紛失・漏洩の増加による環境汚染が懸念されている。
 そこで、PCB廃棄物の保管状況等に関し、以下質問する。

一 保管事業者は、PCB廃棄物の保管基準として、容器に入れ密封すること等による揮発防止のために必要な措置、高温にさらされないために必要な措置、腐食防止のために必要な措置等をとらなければならず、都道府県・政令市は保管基準に適合しない場合、保管事業者に対し改善命令を行うことができるとされている。この保管基準違反の状況はどうなっているか。また、改善命令が出された件数と、これに対する保管事業者の履行状況を示されたい。

二 JESCOが平成二十二年一月に改定したPCB廃棄物の処理料金によると、安定器を含めたPCB汚染物等の処理費用は、安定器等の重量一キログラム当たり二万九千四百円と高額であるが、その積算根拠はどうなっているか示されたい。

三 LED照明機器の急速な普及に伴って、蛍光灯安定器の廃棄も急増しているはずであるが、PCB使用廃安定器の保管状況についての届出はどのようになっているのか、その実態を示されたい。

四 保管事業者は、急増するPCB使用廃安定器の保管場所に苦慮している。嵩を減らすことが保管場所の確保になるため、容器処理を含めた無害化処理施設の拡充を急ぐべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

五 環境省は、PCB使用廃安定器からのPCBの飛散や流出等を避ける観点から、PCB使用廃安定器を分解又は解体等せずに保管することが望ましいとしているが、実態はPCB廃棄物として処分する量を減量化するため、PCB使用廃安定器からコンデンサを取り出す産業廃棄物処分業者が増えている。これらの業者に対し分解又は解体をさせないように指導していることは、実態とかけ離れたものと言わざるを得ない。むしろ、解体における安全性が確保できるよう、設備上の条件を含めた解体ガイドラインの策定をするなど、現場の実態に即した対策を立てるべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 東日本大震災の被災地において、保管されていたPCB廃棄物のうち、流失したものはどれくらいあるのか。

七 被災地のがれきに混在するPCB廃棄物の取扱いがどのように行われているか示されたい。

八 被災地の住民に対し、災害廃棄物中のPCB廃棄物の危険性の周知をより徹底すべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。