質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一四三号

四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年六月十二日

福島 みずほ   


       参議院議長 平田 健二 殿



   四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する質問主意書

 現在、原発の再稼働についての議論が行われているところであり、関西電力の大飯原発の再稼働のみならず、四国電力伊方原発も含めて、地元自治体も検討を行っている。しかし、伊方原発は、そのすぐ近くを中央構造線活断層帯が走っており、南海トラフによる巨大地震の想定震源域に含まれている。万一、伊方原発が東京電力福島原発と同様の過酷事故に陥れば、瀬戸内海、九州西部の自然や社会に壊滅的な被害をもたらすことが想定される。そこで、伊方原発の再稼働を議論していくために、地震に関連する耐震安全性などについて、以下質問する。

一 原子力発電所の耐震安全性評価は、最新の科学的知見を反映させて行うべきと考えるが、政府の見解及び取組方針を示されたい。

二 現在、平野博文・文部科学大臣が本部長を務める「地震調査研究推進本部」は、二〇〇九年三月に、新たな地震調査研究の方針を示す「新たな地震調査研究の推進について-地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策-」を取りまとめ、同年四月に開催された中央防災会議の議を経て正式に決定された。同本部は、この方針に基づき、昨年発生した福島原発事故以降の原発立地地域の地震調査及び原発の耐震安全性の調査に対して、どのように関与・貢献してきたのか。その活動実績を示されたい。

三 「地震調査研究推進本部」による地震活動の評価は、今後の原発立地地域の地震想定などに、どのように活用されていくのか。また、原発の耐震安全性の見直しなどにも反映されていくのか、具体的に示されたい。

四 二〇一一年二月十八日、「地震調査研究推進本部地震調査委員会」は「中央構造線断層帯(金剛山地東縁-伊予灘)の評価」を一部改訂し、「中央構造線断層帯は連続的に分布しており、地表における断層の形状のみから将来同時に活動する区間を評価するのは困難である。ここでは主に過去の活動時期から全体を六つの区間に区分したが、これらの区間が個別に活動する可能性や、複数の区間が同時に活動する可能性、さらにはこれら六つの区間とは異なる範囲が活動する可能性も否定できない」、「石鎚山脈北縁西部の川上断層から伊予灘の佐田岬北西沖に至る区間が活動すると、マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定され、その際に二-三m程度の右横ずれが生じる可能性がある」、「上記六つの区間とは異なる範囲が活動する可能性や断層帯全体が同時に活動する可能性も否定できない。断層帯全体が同時に活動した場合は、マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定される」としている。政府は伊方原発の耐震安全性の見直しなどに、これらの評価をどのように反映させているのか示されたい。

五 原子力施設の耐震バックチェック審議において、原子力安全・保安院は二〇一〇年一月七日、「耐震設計審査指針の改訂に伴う四国電力株式会社伊方発電所三号機耐震安全性に係る評価について(基準地震動の策定及び主要な施設の耐震安全性評価)」を発表し、「「震源を特定して策定する地震動」の評価に際して、敷地前面海域の断層群による地震(長さ約五十四キロメートル、M七・七を代表)、一六四九年安芸・伊予の地震(M六・九)及び想定南海地震(M八・六)を検討用地震としていることは、妥当なものと判断した」としている。伊方原発三号機の「ストレステスト」一次評価に用いられた検討用地震動は、耐震バックチェック審議において用いられた地震動と同じであったのか明らかにされたい。もし、違うのであれば、その理由を示されたい。

六 「地震調査研究推進本部」が「複数の区間が同時に活動する可能性、さらにはこれら六つの区間とは異なる範囲が活動する可能性も否定できない」、「マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定」している伊方原発沖の活断層群に対し、四国電力が「長さ約五十四キロメートル、M七・七を代表」させて原発の耐震安全性評価を行っている。政府として、この評価が妥当と考えるのであれば、その理由を示されたい。妥当としないのであれば、その理由及び今後の対応について示されたい。

  右質問する。