質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一二〇号

シリアの治安情勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月十八日

佐藤 正久   


       参議院議長 平田 健二 殿



   シリアの治安情勢に関する質問主意書

 シリアには国連兵力引き離し監視団(UNDOF)が展開し、日本政府も司令部要員や部隊を派遣している。その派遣先のシリア国内では、アサド政権の退陣を求めるシリア国民評議会とアサド政権側との間で武力衝突が発生し、五千人以上の国民が犠牲になっていると言われている。日本政府はシリアのアサド大統領の退陣を求めており、また、治安の悪化を受け、在留邦人退避勧告を発したほか、在シリア日本国大使館も閉鎖し大使等もヨルダンに避難している。
 一方、日本政府は、当該治安状況は派遣部隊が活動を一時休止や中断する状況にはないとしており、四月三日の参議院予算委員会において、田中防衛大臣は、反政府勢力のシリア国民評議会を国際紛争の当事者である「国に準ずる組織」ではないとの答弁をしている。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 日本政府がシリアのアサド大統領の退陣を求めている理由如何。

二 日本政府が在シリア日本国大使館を閉鎖した理由如何。

三 現在のシリア国内の治安情勢に関する日本政府の認識・評価如何。

四 日本政府の言う「内戦」及び「内乱」に関する法解釈、定義・認識を明確にされたい。また、シリアの治安情勢が「内戦」や「内乱」に合致するのか否か、その理由とともに日本政府の認識を明確にされたい。

五 日本政府が現在のシリア国内の治安情勢がPKO参加五原則に合致していると判断する根拠を具体的に示されたい。

六 日本政府の言う国際紛争の当事者たる「国に準ずる組織」の定義を明確にされたい。
 また、日本政府はこれまでの国会審議の中で、アフガニスタンの反政府組織「タリバン」は「国に準ずる組織」と答弁している。その根拠を「国に準ずる組織」の定義との関係で明確にされたい。

七 アフガニスタンにおけるタリバンの戦闘行為は、日本政府の言う「内戦」あるいは「内乱」に当たるのか否か、日本政府の認識を明確にされたい。また、その理由について、タリバンの意志・戦闘行為と「内戦」及び「内乱」の定義との関係を含め、明らかにされたい。
 また、アフガニスタンのアルカイーダについてもこれまでの国会審議の中で議論されているが、国際紛争の当事者たる「国に準ずる組織」に当たるのか否か、その理由とともに日本政府の見解を明らかにされたい。

八 日本政府が、シリア国内におけるシリア国民評議会が「国に準ずる組織」ではないと判断する理由を、日本政府の言う「国に準ずる組織」の定義との関係で明確にされたい。
 また、タリバンが「国に準ずる組織」であり、シリア国民評議会が「国に準ずる組織」ではないとする理由についても明確にされたい。

九 日本政府が、仮にアルカイーダを「国に準ずる組織」とするなら、シリア国民評議会が「国に準ずる組織」ではないとする理由との整合性について明確にされたい。
 逆に、日本政府が、仮にアルカイーダが「国に準ずる組織」ではないとするなら、シリア国民評議会とアルカイーダが「国に準ずる組織」ではないとする理由の共通点について明確にされたい。

  右質問する。