質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一一七号

高齢化し介護が必要となった受刑者に対する生活支援、受刑者の社会復帰に向けた矯正及び出所後の就労の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月十八日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   高齢化し介護が必要となった受刑者に対する生活支援、受刑者の社会復帰に向けた矯正及び出所後の就労の在り方に関する質問主意書

 近年、刑務所内においても高齢化が進んでおり、最新の矯正統計年報によると、平成十三年時点で六十五才以上の新受刑者の割合は三・六パーセントであったものが、平成二十二年時点で七・八パーセントと倍増していることに伴い、介護を必要とする受刑者が増加している。この対応として介助を行う受刑者を配置させるとともに、適性があると認められた受刑者に訪問介護員の資格を取得させるよう国が取り組んできたことは、矯正上の観点からも、出所後の就労を考える上でも大変価値があることである。
 さらに、長年にわたり、受刑者の矯正に尽力されてきた杉良太郎法務省特別矯正監は、准介護士の資格制度を創設することにより、受刑者に更なる矯正を行うとともに、出所後の社会復帰となる就労にも資する点を提唱されており、私自身もそのお考えを直接伺ったことがある。
 高齢で介護が必要な受刑者に対する生活支援を介助している受刑者に、訪問介護員の資格取得につながる職業訓練を行う必要性は今後も高まっていくと認識しているが、より高度な介護に関する教育・実習を提供する機会が受刑者に与えられるならば、刑務所内における生活支援の質を上げることにつながりうる。受刑者の矯正と出所後の就労を支援すべき立場から、以下、質問する。

一 高齢で介護を必要とする受刑者の生活支援を介助している受刑者に訪問介護員の資格を取得させることは、矯正の観点からも、出所後の就労支援の観点からも有効であると考えられるが、政府の見解如何。

二 刑務所内に訪問介護員よりも高度な知識及び技能を要する介護福祉士の養成施設を開設することは、現行制度上可能か、政府の見解如何。

三 前記二において、現行制度上可能との見解である場合、刑務所内に介護福祉士の養成施設を開設することを検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。