質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一一四号

東北における国際会議の開催等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月十六日

加藤 修一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   東北における国際会議の開催等に関する質問主意書

 近年、日本外交の存在感が薄れている。唯一の被爆国であり、東京電力福島第一原子力発電所の事故を経験している立場にある我が国は、国際会議を始めとする外交の場で、大規模災害やそれに伴う原発事故に関する提言や教訓を発信すべきである。
 私は昨年八月十一日の参議院予算委員会において、被災地の意思を前提とした上で「東北の地で国際会議を開催すべき」と提案した。具体的には、①IMF・世界銀行年次総会(二〇一二年)、②省エネ・再生可能エネルギー展(仮称)(二〇一三年)、③国連持続可能な開発のための教育の十年(二〇一四年、日本での開催決定済み)、④第七回国連ハビタット世界都市フォーラム(WUF、二〇一四年、開催地未定)、⑤アジア防災会議(ACDR、二〇一四年、開催地未定)及び⑥国連防災世界会議(二〇一五年、候補地は東京・仙台)の六つの会議名を挙げて開催を提案した。
 予算委員会で答弁に立った野田総理(当時は財務相)は六つの会議について、来訪者に震災からの復興を見てもらうだけでなく、地元負担に関して「極力負担の掛からないように配慮して、その自治体の知見と経験が十分に生かされるような、そういう検討をさせていただきたい」と、被災地における国際会議の開催について積極的な答弁を行った。
 一方で、本年(二〇一二年)は国連が定める「万人のための持続可能なエネルギー国際年」であり、六月にブラジル・リオデジャネイロにおいて国連会議(リオ・プラス20)が開催される。また、東日本大震災直後に発足した再生可能エネルギーを世界規模で普及促進するための国際機関(IRENA)は、早くも第三回総会を明年(二〇一三年)一月に開催し、それ以降も順次総会が予定されている。
 昨年、我が国は、東日本大震災や原発事故によって世界に多大な心配と迷惑をかけた。一方、被災と事故の直後から、世界各国による物心両面にわたる支援や励ましを受けてきた。
 国際会議の開催は、知名度アップや観光振興など経済波及効果も当然大きい。しかし、あれほど壊滅的な被害と痛ましい犠牲を受けながらも復旧・復興に立ち上がろうとする東北の人々の行動、さらには、原子力災害の事故対応を通して、世界そして後代の人類に貴重な教訓として受け止めてほしいとの姿勢が何よりも重要である。
 そこで、提案した国際会議についての検討状況及び関連事項に関して、以下質問する。

一 「IMF・世界銀行年次総会」の開催に係る支援措置について

 本年十月に開催される「IMF・世界銀行年次総会」について、開催に要する費用全額を国の負担とすべきと考える。国の支援内容、費用総額、費用総額に占める国の負担割合など具体的な支援措置について、政府の見解を示されたい。

二 「省エネ・再生可能エネルギー展」(仮称)等の東北開催について

 二〇一三年に東京での開催が予定される「エコプロダクツ二〇一三」を、東北地方での省エネルギー・再生可能エネルギー施策の振興を図ることを目的とする「省エネ・再生可能エネルギー展」(仮称)として、東北地方で開催してはどうか。地域産業との連携の観点も踏まえた政府の見解を示されたい。また、明年一月に開催されるIRENA第三回総会を東北地方で開催すべきと考えるが、併せて政府の見解を示されたい。

三 「国連持続可能な開発のための教育の十年」最終年会合の東北開催について

 本年六月に開催される国連会議(リオ・プラス20)におけるテーマは持続可能性であり、「幸福の尺度」が議論されると見られる。このような視点に立って、二〇一四年に我が国で開催される「国連持続可能な開発のための教育の十年」最終年会合を東北地方で開催すべきとして提案したが、政府の見解を示されたい。また、被災地以外での開催が決定した場合でも、防災教育などのサブイベントを被災地において開催することについても提案するが、併せて政府の見解を明らかにされたい。

四 「国連ハビタット世界都市フォーラム(WUF)」の東北開催について

 「国連ハビタット世界都市フォーラム」は、政府や地方自治体、国際組織、建築専門家、NGOなどの参加者が一堂に会して都市問題について意見交換を行う場である。本年九月一日からイタリア・ナポリで開催されるが、二年後の次回フォーラムの開催地は未定である。被災地域、被災都市の復旧・復興プロセスに関して学問の境界領域を含めた検討が、ますます拡大している。今日、被災地・東北の在り方を相互に共有し、有意義な成果を得るためにも、政府はWUF開催の誘致の意思を表示すべきである。東北地方でのWUFの開催について、改めて政府の見解を明らかにされたい。

五 「アジア防災会議(ACDR)」の東北開催について

 アジアにおいても開発の進展に伴い自然災害の数、規模が急速に拡大しつつある。「アジア防災会議」は昨年六月にスリランカで開催された。防災に関する技術や知識の普及に努め、社会の防災力強化についてアジア諸国間の連携を深めるため、二〇一四年の東北地方での開催について提案するが、政府の見解を明らかにされたい。

六 「国連防災世界会議」の仙台市開催について

 前回の「国連防災世界会議」は阪神・淡路大震災から十年目(二〇〇五年)に神戸市で初めて開催され、次回の二〇一五年の開催に関して東京都と仙台市が誘致を表明している。仙台市での開催について、政府の見解を明らかにされたい。

七 「リオ・プラス20」におけるグリーン経済指標の創設等について

 本年六月にブラジルで開催される国連会議(リオ・プラス20)においては、各国首脳レベルが経済や社会、環境問題などを協議する。また、貧困解消やエネルギー消費抑制の新たな国際目標などが検討される見通しとなっている。我が国として、グリーン経済の振興や大規模災害に備える防災力に関する国際的指標の創設を提案すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
 また、いわゆるグリーン経済に関連して、これからの時代は、気候変動など環境政策に関する国際的協調、多国間条約の実効的な在り方がますます問われることとなる。
 その場合、エネルギーを含めた環境産業が重要な産業として成立していくことが強く期待される。新しい環境分野における市場形成は、EUにみられるように、環境規制を強化し自ら保持する環境分野の知的財産権などを駆使する国際的展開を指向すると見られる。すなわち従来型の経済の在り方は、自由を旗印に人間の欲望を刺激して市場拡大を図るものであった。しかし、今後は環境規制が経済を拘束するのではなく、市場創出や市場形成につながると考えられる。まずは、グリーン経済そのものをどのように認識しているのか、基本的な定義ともいうべき考えを示されたい。次に、グリーン経済の振興に関する政府の施策を示すととともに、今後のグリーン経済の方向性に関する政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。