質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一一〇号

電磁波問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年五月十四日

山谷 えり子   


       参議院議長 平田 健二 殿



   電磁波問題に関する質問主意書

 携帯電話の普及に伴い、近年、携帯電話基地局の設置数が飛躍的に増加している。基地局周辺で様々な健康被害が報告され、各地で携帯電話基地局の操業差止めを求める訴訟や設置の反対運動などが展開されている。携帯電話基地局を巡る各地の動きと健康被害などの問題点について、政府がどこまで把握し、考慮しているかについて、以下質問する。

一 電磁波問題について、平成二十三年六月十六日の参議院内閣委員会において、枝野官房長官(当時)は「予防原則が重要な課題、健康を守るという観点から積極的な対応が望ましい」と答弁し、平成二十三年十月二十七日の参議院内閣委員会において、藤村官房長官は「枝野前官房長官の答弁内容についても承知している」と答弁している。その後、政府ではどのように対応が進んでいるのか、具体的に示されたい。

二 福岡県太宰府東小学校から約百メートルの距離で校舎を見下ろす位置に、携帯電話基地局の鉄塔が立っている。この小学校で、保護者が子どもの健康アンケートを行ったところ、いらいらする、体がだるい、めまいや耳鳴りがするなどの症状があり、自宅と鉄塔の距離が近い児童ほど、また、学校の教室が上の階に位置する児童ほど、これらの症状が多く出る傾向があり、基地局から発せられる電磁波によって症状が出ている可能性が高いと見られているが、政府の見解を示されたい。また、文部科学省は、この件についてヒアリングなどの調査を行っているのか。

三 福岡県太宰府東小学校の児童の保護者達は、携帯電話基地局の撤去を申し入れたが、「電磁波の強さは国の安全基準を下回っている」と断られた。しかし、国の高周波電磁波に関する基準は千マイクロワット/平方センチメートルである一方、ドイツでは同九百、ベルギーでは同二百、スイスでは同九・五となっており、欧州諸国に比べると非常に甘い基準値となっている。また、妊婦や新生児、子どもなどの傷つきやすいグループを考慮に入れていない値となっている。政府がこのような甘い基準値を変更しない理由を説明されたい。

四 延岡市、熊本市及び那覇市では、携帯電話基地局周辺での市民による健康被害の調査を行っており、他の地域でも同様の調査が進められている。しかし、このような調査については、各地域の状況によって差がある。被害の拡大を防ぐためにも、発症率や症状について、国や自治体が調査の支援を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 フランス、イギリス、ドイツなどでは携帯電話基地局の位置情報をネットで公開している。日本では位置情報が非公開となっているが、健康と財産を守るためには位置情報の公開が必要と考える。位置情報の公開に対する政府の見解を示されたい。

六 電波法施行規則第二十一条の三では、「無線設備には、当該無線設備から発射される電波の強度(電界強度、磁界強度及び電力束密度をいう。)が別表第二号の三の二に定める値を超える場所(人が通常、集合し、通行し、その他出入りする場所に限る。)に取扱者のほか容易に出入りすることができないように、施設をしなければならない。」としているが、これはあくまでも短時間での基準値を超えた電磁波の被ばくについて規制しているものである。微量で長時間の電磁波の被ばくに対しても規制が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。