質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第九四号

原子力安全委員会の機能不全に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年四月二十五日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   原子力安全委員会の機能不全に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故対応において、原子力安全委員会が機能していないとの批判がある。それに留まらず、定期点検後の原子力発電所の再稼働の安全性の判断においても、原子力安全委員会が十分に機能していない。
 具体的には、昨年七月十一日の当時の枝野内閣官房長官、海江田経済産業大臣及び細野内閣府特命担当大臣による決定文書「我が国原子力発電所の安全性の確認について」において、「原子力安全・保安院が確認し、さらに原子力安全委員会がその妥当性を確認する」とされているにもかかわらず、本年四月十七日の公明党の東京電力福島第一原子力発電所災害対策本部会合に出席した原子力安全委員会の岩橋事務局長は、「七月十一日の内容は要請であって指示ではない。原子力安全委員会は独立した委員会であるが故に、このような要請に従うか否かは原子力安全委員会の独自の判断による」として、原子力安全・保安院から確認を求められている四国電力伊方原子力発電所三号機のストレステスト一次評価の確認については「本来、四月から原子力規制庁が発足する予定であったことから、原子力安全委員会としては行わない」と明言した。
 原子力発電所の再稼働に係る安全性については、推進側組織の下にある原子力安全・保安院の判断や閣僚による政治的判断に委ねるのではなく、専門分野の学識経験者の知見を総動員して判断すべきことが求められている中で、このような原子力安全委員会のサボタージュに対して多くの国民は疑念と不信を深めている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 四国電力伊方原子力発電所三号機のストレステスト一次評価の確認の状況如何。原子力安全・保安院のチェックはいつ終わり、いつ原子力安全委員会に確認の要請を行ったのか。原子力安全委員会としては確認のための会合をいつ開催し、どのような決定を行ったのか、時系列で具体的に明らかにされたい。

二 原子力安全委員会の班目委員長は、本年三月十九日、「原子力安全委員会は三月末に廃止されると聞いている。そういう組織に(四国電力伊方原子力発電所三号機の審査書を)持ってくることはあり得ない」と発言したと報道されている。また、四月十七日、岩橋事務局長は「本来、四月から原子力規制庁が発足する予定であったことから、原子力安全委員会としては行わない」と発言している。このような発言内容は原子力安全委員会を担当する細野内閣府特命担当大臣の方針と符合するものなのか、その理由とともに明らかにされたい。

三 本年四月二十一日、枝野経済産業大臣はテレビ東京の番組に出演し、原子力安全・保安院が「妥当」と確認した四国電力伊方原発三号機の安全性審査について、「原子力安全委員会がなかなかやってくれない。独立委員会なので内閣は命令できないが、やって下さいとお願いする必要がある。」と述べたと報道されているが、事実関係如何。経済産業省としては、原子力規制庁など新たな規制組織が発足するまでの間は、あくまで原子力安全委員会の確認を求めるという方針に変更はないのか。

四 本年四月六日付けの「原子力発電所の再起動にあたっての安全性に関する判断基準」については、野田内閣総理大臣、藤村内閣官房長官及び枝野経済産業大臣だけではなく、細野内閣府特命担当大臣を合わせた四大臣の名前で発表されているが、細野大臣の管轄下にある原子力安全委員会としては、その内容を妥当なものと判断しているのか。もし、当該判断基準を原子力安全委員会として関知していないというなら、細野大臣はどの組織の技術的サポートを受けて当該判断基準を妥当と判断したのか、その組織名とトップの人物の官職を明らかにされたい。

五 このように原子力発電所の再稼働を判断する際の安全性の確認の在り方を巡り政府内で混乱が見られることについて、野田内閣としてどのように反省し、どのように改善するのか、野田内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。