質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第三八号

ガラスバッジ測定結果の総点検に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月二十一日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   ガラスバッジ測定結果の総点検に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、福島県の子どもたちの被ばく線量を把握するための経費が平成二十三年度第二次補正予算で計上され、県内中学生以下約二十八万人及び妊婦約二万人にガラスバッジが配布されている。
 しかしながら、これらの測定結果の一元的把握を国は怠ってきており、私が平成二十三年十二月八日に提出した「ガラスバッジ測定結果についての専門家支援及び対策立案への積極的活用に関する質問主意書」(第百七十九回国会質問第五一号)において「個人情報には配慮しつつも、福島県全体としてどのような傾向にあるか把握・公表するとともに、その結果に基づき対策を立案すべき体制を至急構築すべき」と指摘したのに対し、政府は同年十二月十六日付けの同質問主意書に対する答弁書(内閣参質一七九第五一号)において、ようやく「被ばく線量の測定結果の把握等については、政府としては、福島県と協議の上、検討してまいりたい。」との答弁を行った。
 一方、今年に入り、二本松市のマンションで高放射線量が計測された事実が判明し、放射能に汚染された砂利・砕石の使用実態が明らかになったが、その発覚のきっかけは、同マンションに居住する女子中学生のガラスバッジの測定結果であったと報道されている。
 このような国の対応の遅れを受け、政府がガラスバッジの測定結果を早期に把握すべきであるにもかかわらず、その責務を果たしていないとの国民の懸念とともに、放射能に汚染された物資の総点検を望む声が高まっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 二本松市は昨年九月から三か月間、主に高校生以下を対象に個人積算線量計で外部被ばく線量を測定している。同年十二月十六日時点での測定結果における三か月間の積算平均値は、乳幼児と高校生が〇・四一ミリシーベルト、小学生と中学生は〇・三七ミリシーベルトだったのに対し、前述の女子中学生の測定値は一・六二ミリシーベルトであり、このような事態について国に報告されたのが同年十二月二十八日、経済産業省が詳細調査を行ったのは本年一月十日であったと報道されているが、これらの事実関係について、政府の承知するところを示されたい。

二 今回の事態から、ガラスバッジの測定結果を政府として総点検する必要があると考えるが、野田内閣の見解如何。前記の答弁書において「被ばく線量の測定結果の把握等については、政府としては、福島県と協議の上、検討してまいりたい。」とあったが、福島県とどのような協議を行い、どのような検討を行っているのか、その進捗状況を明らかにされたい。

三 前述の二本松市の女子中学生のように、他の子どもたちと比べて特に高い被ばく線量が計測された子どもの数は、福島県内でどの程度か。その計測結果における一か月当たりの積算平均値の一定の値の幅(例えば〇・二ミリシーベルト)毎の人数を示すとともに、高い被ばく線量が計測された理由が明らかなものについてはその理由別に、政府として把握している範囲で明らかにされたい。

四 前記三の実態をいまだ政府として把握していないのであれば、何時までにその実態を把握できる体制を構築するのか、その期限を明らかにされたい。

五 放射能に汚染された砕石、コンクリートなどの流通・使用が判明したことを受け、公明党は本年二月一日に、可及的速やかに①その流通・使用実態の解明、②安全基準の設定、③砕石法及び砂利採取法に基づく点検指導さらには緊急措置命令による出荷停止措置の明確化、④風評被害を含む損害に対する政府・東京電力による賠償・仮払、⑤施工業者を含む関連事業者に対する緊急つなぎ融資、⑥他の汚染物資の流通の未然防止のための必要な法的措置の事前整備など、関係閣僚の連携の下で所要の対策に万全を期すことを、野田総理及び平野東日本大震災復興対策担当大臣(当時)に申し入れた。その後の政府の検討及び実施状況を明らかにされたい。

六 今後の避難解除による住民の帰還の不安の低減等のために、ガラスバッジの配布対象を帰還者にも拡大するという案も提起されているが、このような考え方に対する政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。