質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第三四号

拙速な野田総理の原子力発電所事故収束宣言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月二十日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   拙速な野田総理の原子力発電所事故収束宣言に関する質問主意書

 野田総理は、去る十二月十六日の記者会見において、「原子炉が冷温停止状態に達し、事故自体は収束したと確認した」と発言した。しかし、十二月二十七日に福島県議会が「原発事故の収束宣言の撤回を求める意見書」を全会一致で可決したほか、「冷温停止状態」の定義自体に疑問が呈されるなど、地元や専門家から、余りにも拙速な収束宣言との批判があるだけではなく、国民の安全に関わる重要な問題を十分な根拠なく判断する野田内閣の政治姿勢に多くの国民は懸念を有している。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 政府が用いる「冷温停止状態」の定義について、現在の計測値及び計測場所を示した上で、具体的に明らかにされたい。また、それらの計測値のうち、どの計測場所でどのような値を示した場合に「冷温停止状態」ではなくなるのか、具体的に明らかにされたい。

二 東京電力福島第一原子力発電所の各原子炉から大気・海水・土壌に放出されている時間当たりの放射性物質の量について、大気・海水・土壌別(個別値がなければ全体値)にベクレル単位で明らかにされたい。また、それらは昨年三月十一日前の状態のおおよそ何倍になるのか示されたい。

三 昨年十二月十六日付け東京新聞によれば、建屋地下に毎日五百トン程度地下水が流れ込み、その処理が厄介な問題となっており、当初の計画では建屋地下からは汚染水がなくなっているはずだったが、いまだに八万トン近い汚染水で満たされている一方、十四万トン分用意した処理水タンクの残容量は少ないとの指摘がある。これらの事実関係について、政府の承知するところを実際の値を示した上で明らかにされたい。また、同報道によれば、政府は「水は冷温停止状態の定義と無関係」と説明したとされているが事実か、政府の承知するところを明らかにされたい。

四 日本原子力保険プールは、東京電力福島第一原子力発電所の損害保険契約の更新を拒否したと聞いているが、日本原子力保険プールはどのようなリスクがあるために更新しないと主張したのか。その詳細について、政府の承知するところを明らかにされたい。また、海外大手保険会社との契約についても原賠法を所管する文部科学省が難色を示して交渉がまとまらなかったとの報道(一月十一日付け日本経済新聞)もあるが、文部科学省は具体的にどのような考えから「難色を示した」のか。政府の承知するところについて、国民が安心できるよう明らかにされたい。

五 東京電力は、本年二月二日頃から東京電力福島第一原子力発電所二号機の温度測定値が急上昇した原因は、熱電対の故障としているが、このような測定機器の故障は、政府の「冷温停止状態」の定義の中で想定されていたのか。想定されていたのであれば、今後、具体的にどのような測定装置が故障することを想定しているのか。また、その際の政府の対処方法を具体的に明らかにされたい。

  右質問する。