質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二五号

拙速な原子力規制庁法案の閣議決定と原子力規制の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月十五日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   拙速な原子力規制庁法案の閣議決定と原子力規制の在り方に関する質問主意書

 政府は、去る一月三十一日、原子力組織改革法案及び原子力安全調査委員会設置法案(以下合わせて「原子力規制庁法案」という。)の閣議決定を行った。
 これに対し、二月二日、国会に設置された東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(以下「調査委員会」という。)の黒川清委員長から、調査委員会が今般の事故を踏まえた「行政組織の在り方の見直し」を含め提言を行うことを任務の一つにしており、昨年十二月からその調査を行っている最中であるにもかかわらず、政府が「組織の在り方」を定めた法案を決定したことは理解できず、政府の決定の見直し及び国会における責任ある対応を求める声明が出された。
 黒川委員長の指摘は当然であり、政府の対応は拙速であると言わざるを得ない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 黒川委員長の声明を受け、政府は閣議決定し国会に提出した原子力規制庁法案を撤回すべきであると考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

二 二月七日の参議院予算委員会において、細野国務大臣から「四月には新しい組織を発足させていただきたい、その後、様々な御提案をいただいた場合には、それには真摯に耳を傾けて、(中略)平成二十四年末をめどに最終的な様々な組織の在り方については更に向上を図っていくという形になっておりまして、そうした国会事故調であるとか、さらには政府の事故調の様々な提案についてはしっかりと受け止める、そういうスケジュールになっているということを是非御理解をいただきたい。」との答弁があった。たとえ、細野国務大臣が要望しているように原子力規制庁が四月に発足したとしても、その後、調査委員会から、環境省の外局ではなく国家行政組織法の三条委員会として原子力規制当局を再編すべしとの提案があった場合には、「真摯に耳を傾け」、「しっかりと受け止め」て、平成二十四年末に、国家行政組織法の三条委員会として再々編を行う可能性も排除していないのか、それとも、この答弁は細野国務大臣の単なるリップサービス・ごまかしか、野田内閣としての見解を明らかにされたい。

三 同日の予算委員会で、細野国務大臣は、「日本の原子力規制の在り方そのものは非常に大きな問題がありました。ですから、その行政を担当する者としては、一日でも早くまずそのレベルを上げなければならないと思っております。」、「そこに燃料がある以上は防災の問題には取り組まなければなりません。その強化がなかなかできない状況にございます。」、「(我が国の原子力発電所が)テロに対して必ずしも十分な備えができていないのではないか。」と答弁したが、原子力規制庁が発足していない現時点において、国民の安全が十分に確保できていない状況であると担当大臣として認識しているのか、さらに、このような認識を野田内閣として共有しているのか明らかにされたい。もしそうであるならば、組織再編以前の問題として、どのような応急対策を取ったのか。対策を取っていないのであれば、その理由を具体的に明らかにされたい。また、細野国務大臣が指摘した問題点について、組織再編以外の選択肢では解決が不可能というのであれば、その根拠を明らかにされたい。

四 原子力規制を担当する大臣が「(我が国の原子力発電所が)テロに対して必ずしも十分な備えができていないのではないか。」と国会で発言したことは、いわばテロを誘発しうる大問題であり、国の安全保障上許されるものではない。その任命責任をどのように考えているのか、野田内閣総理大臣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。