質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第一六号

叙勲制度改革に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月六日

加藤 修一   


       参議院議長 平田 健二 殿



   叙勲制度改革に関する質問主意書

 平成十二年、自公政権時代に与党「栄典制度に関するPT」の決断によって叙勲制度の大幅な改革が行われた。
 平成十五年秋から始まった新叙勲制度の重要な柱の一つは、勲章受章者の官民格差の解消であった。「官」はいわば国民に仕えるのが職務であり、勲章受章者の「官偏重」は是正されなければならない。議員及び公務員の公益貢献は当然の責務であり、勲章及び褒章は受章しない。これらの公明党の一貫した主張が新制度の実現を主導した。また、当時の与党公明党は、とりわけ国会議員の特権意識に厳しくメスを入れ、①勤続二十五年議員への月三十万円の特別交通費支給、②肖像画代百万円の支給及び③勤続五十年議員への年五百万円の憲政功労年金の終身支給などの特典を次々と廃止に追い込み、改革の旗振り役となった。
 新叙勲制度のもう一つの柱は、一般推薦制度の創設である。一般推薦制度の創設は、叙勲に値する人物を国民だれもが推薦できる画期的な制度改革であった。府省ごとの推薦枠(人数)の固定化、所管府省による推薦基準の硬直性などの欠点を排除するため、幅広い視野からの選定や柔軟な人物選考など、国民の意識や価値観の変化を反映した栄典制度の実現を目的として創設された。
 昨年、「勲章受章者の官民格差是正に向けた取組に関する質問主意書」(第百七十七回国会質問第三七号)において、勲章受章者の官民格差の是正等の基本的な方向性について質問しているが、十年目を迎える新叙勲制度について、改めて以下のとおり質問する。

一 政権交代以降の民主党政権における勲章受章者の官民格差是正の実績(官民それぞれの叙勲者数及びその叙勲者数全体に占める割合など)を各年の春秋の叙勲ごとに明らかにされたい。

二 一般推薦制度は更に拡充されなければならない。新制度開始以来の一般推薦制度による叙勲者数及びその叙勲者数全体に占める割合の実績を明らかにされたい。

三 一般推薦による叙勲には、推薦者一人、賛同者二人による推薦に加えて、関係府省の推薦(賞勲局と関係府省の協議)も要件とされている。これでは、一般推薦の主旨をゆがめるだけでなく、一般推薦の名を借りた府省主導の実態は変わらないと言われても仕方がない。一般推薦に関しては、府省枠(人数)や従来の推薦の在り方にとらわれず、一般推薦独自の審査基準及び枠による選考を原則とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 社会貢献活動についても、幅広い視点で顕彰されるべきである。例えば、静脈産業などの業界や地域環境問題等に取り組む人など、従来注目されてこなかった業界や分野で活動する民間の人々に光が当てられるよう、人材の発掘力が必要である。また、一般推薦制度を活用し、例えば叙勲枠のみあって褒章枠がない分野にも顕彰が広がるよう努めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 昨年、東日本大震災は我が国の災害史上類例を見ない規模の人的被害と物的損害をもたらした。一方で国民各層から、かつてない規模で、救助や被害の拡大防止、人道・生活面での支援活動、さらに様々なボランティアや企業、職業者による被災地と被災者に対する貢献の手が差し延べられた。各府省においても大臣表彰などの形で、これらに対し感謝状など一定の表彰がなされたところだが、国の栄典制度においても、一般推薦制度を活用し、東日本大震災に対応した特別な顕彰枠を設けるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。