質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第三号

衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年一月二十六日

渡辺 猛之   


       参議院議長 平田 健二 殿



   衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関する質問主意書

 衆議院小選挙区選出議員の選挙区(以下「衆議院小選挙区」という。)については、衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下「設置法」という。)に基づき、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「審議会」という。)において調査審議が行われ、その改定案の作成及び勧告が行われる。当該勧告は、設置法第四条第一項において、国勢調査(統計法第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に行うものとされ、さらに、同条第二項において、審議会が各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは、勧告を行うことを認めている。しかし、過去に同条第二項に基づく勧告が行われたことはない。
 平成十一年に行われた市町村の合併の特例に関する法律(昭和四十年法律第六号)(以下「旧合併特例法」という。)の改正から推進されたいわゆる「平成の合併」により市町村数は大幅に減少し、平成十一年三月三十一日の三千二百三十二から、旧合併特例法による特例措置の期限となる平成十八年三月三十一日には市町村数が千八百二十一となり、さらにいわゆる「平成の合併」が終了する平成二十二年三月三十一日には千七百二十七となった。このような急激な市町村合併により、合併後の市町村と衆議院小選挙区の区域が一致せず、一つの市町村が複数の衆議院小選挙区に分割されてしまう事例が増加している。しかし、衆議院小選挙区について審議会は、平成十二年の国勢調査に伴う「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」(平成十三年十二月十九日)以降、何らの勧告も行っておらず、さらに、平成二十二年の国勢調査に伴う見直しについては作業が中断している。この状況に鑑み、以下質問する。

一 現在、複数の衆議院小選挙区により区域が分割されている市区町村の数を示されたい。

二 前記一の市区町村のうち、平成十一年四月一日以降の市町村合併に伴い、複数の衆議院小選挙区により区域が分割されることとなった市区町村の数を示されたい。

三 審議会が平成十三年九月にまとめた「区割りの改定案の作成方針」は、「市(指定都市にあっては行政区)区町村の区域は、分割しないことを原則とする」としている。また、地方公共団体の議会の議員の選挙区について、公職選挙法は都道府県の議会の議員の選挙区については原則として郡市の区域によることとし、市町村の議会の議員の選挙については、原則としては、選挙区を設けないで、その区域の全部を一の区域として選挙を行うこととしている。地方公共団体の議会の議員の選挙区に関しては、市町村の合併の特例に関する法律(平成十六年法律第五十九号)に、合併市町村の従前の区域に基づく選挙区とすることを認める旨の特例が規定されているが、あくまで一定期間に限られるものである。このような地方公共団体の議会の議員の選挙に関する規定も踏まえれば、衆議院小選挙区についても、早急に市町村合併後の市町村域と合致させるための措置を講ずるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 平成十七年の国勢調査の結果が公表された時点において、いわゆる「平成の合併」は相当程度進んでいたと考えられるが、当該時点において衆議院小選挙区の見直しを行わなかった理由を示されたい。

五 平成十七年の国勢調査の結果公表に伴う見直しの必要性の検討の後、平成二十二年の国勢調査による速報人口が公表されるまでの間の審議会の検討状況及び同期間に衆議院小選挙区の見直しを行わないこととした理由を示されたい。

六 設置法第四条第二項の解釈について

1 いわゆる「平成の合併」による急激な市町村数の減少は、設置法第四条第二項の「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」には当たらないのか。政府の見解を示されたい。
2 「各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情」は「選挙区の区割りの前提となった重要な要素に根本的な変更が生じ、選挙制度の安定性の要請を考慮してもなお、即座に抜本的是正を必要とする場合、すなわち十年ごとの勧告を待てないような特段の事由」と解されているが、この「重要な要素」への「根本的な変更」とはいかなる状態を指すのか。政府の見解を示されたい。

七 平成二十二年の国勢調査の結果による人口(速報値)は平成二十三年二月二十五日に公示された。一方で、審議会は平成二十三年三月二十八日以降開催されていない。その理由を示されたい。

八 設置法第四条第一項に鑑みれば、平成二十二年の国勢調査の結果による人口が最初に官報に公示された平成二十三年二月二十五日から一年以内に、審議会は、内閣総理大臣に衆議院小選挙区の改定案を勧告するものとされている。そこで、現状のまま審議会が同日までに調査審議を行わず、勧告を行わない場合の設置法第四条第一項との関係について政府の解釈を示されたい。また、審議会が勧告を行わない場合の政府の対応を示されたい。

九 審議会がその活動を再開し、衆議院小選挙区の改定案を勧告する場合、調査審議にどの程度の期間を要すると考えられるか示されたい。

  右質問する。