質問主意書

第179回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四六号

内閣参質一七九第四六号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員前川清成君提出司法試験予備試験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員前川清成君提出司法試験予備試験に関する質問に対する答弁書

一について

 司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号)第五条第一項は、司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)について、司法試験を受けようとする者が法科大学院の課程を修了した者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とするものと規定しており、平成二十三年の予備試験は、司法試験委員会において、その目的を踏まえて適切に実施されたものと認識している。
 平成二十三年の予備試験の合格率(受験者数に占める合格者数の割合をいう。以下同じ。)については、同委員会において、実際の試験結果に基づき、法科大学院修了者と同等の学識等を有するかどうかを判定するという観点から適切に合格者が決定された結果であると認識しているが、出願時に学歴として法科大学院修了と申告した者の合格率が御指摘のような割合である理由については、現時点で判断することは困難である。
 いずれにしても、法科大学院教育、司法試験及び予備試験を含む法曹の養成に関する制度の在り方については、内閣官房、総務省、法務省、財務省、文部科学省及び経済産業省の共催による「法曹の養成に関するフォーラム」において、現在、必要な検討を行っているところである。

二の①から③までについて

 新しい法曹養成制度は、従来の司法試験が抱える厳しい受験競争等の問題点を克服し、質、量ともに豊かな法曹を養成するために導入されたものであり、法科大学院を中核とし、法科大学院教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度である。このような制度の趣旨を損ねることのないよう配慮しつつ、法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための適切な途を確保するために予備試験の制度を設け、その合格者には法科大学院修了者と同等に司法試験の受験資格が与えられることとしている。
 お尋ねの「抜け道」の意味するところが必ずしも明らかでないが、平成二十三年の予備試験の合格者は、一についてで述べたとおり、司法試験委員会において、法科大学院修了者と同等の学識等を有するかどうかを判定するという観点から適切に決定されたものと認識している。

二の④について

 御指摘の点については、予備試験の制度以外にも、法科大学院を目指す者が経済的理由により進学を断念することがないよう、法科大学院を置く大学が実施する授業料等の減免等の措置や独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金の貸与事業などがあり、その支援に努めているところである。

二の⑤について

 二の①から③までについてで述べたとおり、予備試験は、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度において、その趣旨を損ねることのないよう配慮しつつ、法科大学院を経由しない者にも法曹資格取得のための適切な途を確保するために設けられた制度であり、法科大学院修了者と同等の学識等を有するかどうかを判定する試験としての意義を有するものであることから、御指摘は当たらないものと考えている。