質問主意書

第179回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一号

内閣参質一七九第一号
  平成二十三年十一月一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員糸数慶子君提出沖縄県八重山採択地区における教科書問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出沖縄県八重山採択地区における教科書問題に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和三十八年法律第百八十二号。以下「無償措置法」という。)第十三条第四項の規定による協議は、採択地区内の市町村教育委員会が種目ごとに同一の教科用図書を採択するために行う協議であるが、その協議の方法については採択地区内の各市町村教育委員会の合意により決定されるものである。
 御指摘の「全員協議」については、石垣市教育委員会教育長及び与那国町教育委員会教育長から文部科学大臣宛てに提出された各文書において、石垣市教育委員会及び与那国町教育委員会は、当該全員協議において教科用図書の採択に関する協議を行うことについて合意していないとの認識が示されているところである。また、竹富町教育委員会委員長から文部科学大臣及び文部科学省教科書課長宛てに提出された文書並びにそれに添付された石垣市教育委員会委員長、竹富町教育委員会委員長及び与那国町教育委員会委員長の連名の文部科学大臣及び文部科学省教科書課長宛ての文書(以下「委員長連名の文書」という。)において、当該全員協議における協議により教科用図書の採択をしたい旨の要請がなされているが、その後、石垣市教育委員会教育長から文部科学省教科書課長宛てに、同教育委員会において委員長連名の文書に作成名義人として記載されていた同教育委員会委員長の記名を「削除する」ことを承認した旨の文書が提出されるとともに、与那国町教育委員会教育長から文部科学大臣及び文部科学省教科書課長宛てに、委員長連名の文書に作成名義人として記載されていた同教育委員会委員長の記名は同教育委員会の決議を経ずになされた旨の文書が提出されており、あわせて、同教育委員会教育長から文部科学大臣に対して、当該文書の提出については同教育委員会の承認を受けたものである旨の文書が提出されている。これらのことなどから、当該全員協議において無償措置法第十三条第四項の規定による協議を行うことについて、各教育委員会が合意していたとは認められず、当該全員協議において行われた採択に関する協議は、同項の規定による協議に当たるとは認められないと考えている。
 文部科学省としては、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会が同一の教科用図書を採択していないという状況を踏まえ、沖縄県教育委員会に対し、引き続き、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、同採択地区内の各市町教育委員会が同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言するとともに、児童生徒の教育を受ける機会が妨げられることのないよう、今後、文部科学省として講じ得る措置について関係法令の趣旨等を考慮して判断してまいりたい。

四について

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第六号は、教育委員会が管理し執行する事務として、「教科書その他の教材の取扱いに関すること」と規定しており、公立小学校及び中学校等において使用する教科用図書の採択については、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行うこととされているが、無償措置法第十二条第一項の規定に基づいて設定された採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、無償措置法第十三条第四項の規定により、当該採択地区内の市町村の教育委員会が協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならないとされている。文部科学省としては、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果が無償措置法第十三条第四項の規定による協議に当たり、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会は、当該規約に従ってまとめられた結果に基づいて、同一の教科用図書を採択すべきものと考えている。

五について

 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和三十九年政令第十四号)第十三条第一項は、公立小学校及び中学校等において使用する教科用図書の採択については、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、当該教科用図書を使用する年度の前年度の八月三十一日までに行わなければならないと規定し、また、教科書の発行に関する臨時措置法施行規則(昭和二十三年文部省令第十五号)第十四条は、都道府県の教育委員会は、都道府県内の教科用図書の需要数をこれを使用する年度の前年度の九月十六日までに文部科学大臣に報告しなければならないと規定しているところ、既にこれらの期限を経過していることから、文部科学省としては、沖縄県教育委員会に対して、引き続き、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会が早急に同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言するとともに、同採択地区の教科用図書の需要数を早急に文部科学大臣に報告するよう指導・助言してまいりたい。