質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五八号

沖縄県久米島町鳥島の領土保全の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十二月八日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   沖縄県久米島町鳥島の領土保全の在り方に関する質問主意書

 沖縄県久米島町の鳥島は久米島の北方約二十八キロメートルに位置し、我が国の領海の確保に貢献する貴重な国境離島である。鳥島は日米地位協定に基づいて、沖縄復帰後以降、射撃訓練が行われてきたところであるが、度重なる訓練により島の形が変わったと地元では指摘されている。
 かつて三十五メートルあった標高が十五メートルまで低下しているという地元の声が事実ならば、このままでは島が海面下に沈むことが危惧される。我が国の領土及び領海を守るために早急な対応を取るべきであり、国益を守る観点から、以下質問する。

一 国民の生命・身体・財産を守るべき国が、鳥島を守ることにより、領海を確保し、国益を守ることの必要性について、政府の見解如何。

二 二〇一〇年六月二十四日施行の「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律」を根拠に、鳥島という国土は守られるという口約束が米国との間で存在するとの外務省職員の説明があったが、誰が、いつ、どこで(どの国際会議で)、米国の誰と口約束を交わしたのか明らかにされたい。

三 「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律施行令」には、保全地点が明記されており、鳥島全域がその対象となっている。また、長崎県男女群島鮫瀬の低潮線が約二キロメートル後退すると約七十八平方キロメートル(東京ドーム約千七百個分)の排他的経済水域面積が減少するとの国の試算がある。鳥島の現在の低潮線が海面下に沈んだ場合の排他的経済水域面積の損失についての影響も、政府は当然のごとく把握しているはずである。影響を受ける排他的経済水域面積を示されたい。

四 昨年より、一年に一度の地形調査が防衛省により行われているが、防衛省が一年後、鳥島の消失に責任を持てるのか。その結果を待つことなく、鳥島が海面下に沈まないように、米国に対して我が国の領土保全を早急に要請すべきと考えるが、政府の見解如何。

五 米空軍による射爆撃は日常的に実施することが可能になっている。鳥島が我が国の領土保全に重要な島であるならば、地形調査の頻度は一年に一回では不十分である。加えて、人工衛星による恒常的かつ高精度な地形情報を把握し、必要に応じて、関係省庁とアメリカに情報提供し、鳥島の領土保全対策について協議すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 久米島への民間航空経路は、米空軍の訓練空域を迂回することにより、直線距離では約百キロメートルで済むところが百四十キロメートルもの長距離となっている。これによる航空料金の負担増加分を島民または久米島訪問者に負担させる合理的理由について、政府の見解如何。米国と地位協定を交わした国こそが負担すべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。