質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五三号

年金の老齢給付裁定請求の手続における住民票コード記載を求める件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十二月八日

福島 みずほ   


       参議院議長 平田 健二 殿



   年金の老齢給付裁定請求の手続における住民票コード記載を求める件に関する質問主意書

 現在、全国の年金事務所では、老齢基礎年金や厚生年金の老齢給付裁定請求に際して、老齢給付裁定請求書(以下「裁定請求書」とする。)に住民票コードの記載を求め、必要書類として住民票コードを準備するよう申請者に指示している。その理由としては、住民票コードの記載によって、年金受給権者現況届が原則不要となることや添付書類の簡素化が挙げられている。このような年金事務所からの指示により、請求者は、裁定請求書に住民票コードを記載するために、市区町村の窓口まで出向き、住民票コードが記載された住民票又は記載事項証明書を求めなければならない。
 しかしながら、年金事務所が申請者に対して住民票コードの記載を求めることは、住民基本台帳法第三十条の四十二第四項に規定している「国の機関又は法人は、その処理する事務であってこの法律の定めるところにより当該事務の処理に関し本人確認情報の提供を求めることができることとされているものの遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る住民票に記載された住民票コードを告知することを求めてはならない。」に違反するものと考える。
 なぜなら、老齢基礎年金や厚生年金の老齢給付裁定請求手続において、申請者による住民票コードの記載は、以下の三つの理由から必要ないと認められるからである。第一に、裁定請求書に住民票コードが記載されていない場合には、後日、日本年金機構が住民基本台帳ネットワークシステムを利用し、ネットワークシステムと住民四情報をマッチングさせることによって、住民票コードを落とし込む業務を行っている。第二に、その結果、裁定請求書に住民票コードが記載されていなくとも、年金受給権者現況届は申請者に送付されていない。第三に、多くの市民は住民票コードを把握しておらず、市区町村の窓口で住民票又は記載事項証明書の交付を求めなければならないため、実際には請求者の手続は簡素化していない。以上の理由から、住民票コードの記載を求めることは裁定請求事務の遂行上必要であるとは言えない。
 よって、以下質問する。

一 老齢給付裁定請求手続における住民票コードの必要性について

1 多くの申請者にとって住民票コードは馴染みがない。しかしながら、申請者が住民票コードを入手しなくとも事務の上で全く問題ないにもかかわらず、年金事務所が請求者に住民票コードの記載を指示しているため、請求者は住民票コードを入手しなければならず、手間がかかっている。このような現状を厚生労働省及び日本年金機構は認識しているか。
2 請求者が住民票コードを記載していない場合は、日本年金機構の業務として、住民基本台帳ネットワークシステムとのマッチングによって住民票コードは確認される。年金受給権者現況届は請求者に送られることなく年金事務が行われているのであるから、住民票コードを記載させる必要はないと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 年金事務所への通知について

1 年金事務所では、住民票コードを記載しない場合は、請求者に年金受給権者現況届が送られ、本届を提出しなければ年金が停止されると説明されているが、そのような事務処理は行われていない。したがって、請求者への説明は誤りであり、そのような説明をするべきではないことを厚生労働省及び日本年金機構はすべての年金事務所に通知すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
2 申請者が住民票コードを覚えていなければ、住民票コードを記載するように指示する必要はないこと、申請者が自らの住民票コードを確認するために問い合わせ等を行う必要はないことを、日本年金機構は全国の年金事務所に通知すべきであると考えるが、政府の指導方針を示されたい。

三 住民票コードに関する事務の変更について

1 裁定請求書の書き方及び必要書類についての説明を示した日本年金機構のホームページでは、住民票コードについて市区町村の窓口に問い合わせるように、といった記述がみられるが、このような記述は必要ないため削除すべきであると考えるが、政府の指導方針を示されたい。
2 裁定請求書の中に、住民票コード記載欄があるが、このような必要のない記述については、削除すべきであると考えるが、政府の指導方針を示されたい。

  右質問する。