質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四一号

ベラルーシ共和国などの放射能対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十二月一日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   ベラルーシ共和国などの放射能対策に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所事故以来、食品汚染、除染、住民の健康管理などの放射能対策について、政府は対応を行っているものの、国民の目からすれば、「泥縄」的感はぬぐえない。特に、「直ちに健康に影響を及ぼさない」という政府発表を繰り返されても、長期的影響を含めた正しい科学的見解を求める国民の不満は高まる一方である。
 一方、一九八六年のチェルノブイリ原発事故から二十五年が経ち、我が国と同様に甚大な放射能汚染を経験したベラルーシ共和国が、食品汚染、除染、住民の健康管理などの放射能対策に取り組んできた実績について数多く報道されている。
 例えば、チェルノブイリ原発から五十キロメートル離れたストレチェボ村は、同原発事故発生直後の放射線量は年間二十ミリシーベルトであり、現在も年間一・八ミリシーベルトと高レベルの汚染状況にあり、住民が地元の小学校に食品を持参して、無料で放射能検査ができる制度となっていると聞いている。
 また、チェルノブイリ原発から百五十キロメートル離れていながらも高濃度汚染を経験したベトカ地区の地区病院長ジミナ・ナジェージダ氏は、十一月十一日から十三日に福島県で開催された「ふくしま会議」に参加し、その貴重な経験を話している。
 そのほか、同原発事故の際には、スウェーデンのイェーブレやイタリアのコモなどの地も放射能汚染され、農産物などの規制が実施されたとの報道もある。
 このようなベラルーシ共和国などの経験を網羅的に収集し、国民に広く公開するとともに、我が国の放射能対策に活用すべきであるにもかかわらず、そのような取組が十分に実施されていないのではないかと多くの国民は疑念を有している。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 ベラルーシ共和国のストレチェボ村及びベトカ地区、スウェーデンのイェーブレやイタリアのコモをはじめとする、同原発事故で高濃度の放射能汚染を経験した代表的地点における事故後及び最近の放射線量並びに住民の年間許容被曝線量について、政府が把握しているところを明らかにされたい。

二 前記一の代表的地点毎に、現在までの食品の放射能に関する規制について、政府が把握しているところを時系列的に明らかにされたい。

三 前記一の代表的地点毎に、現在までどのような除染対策が講じられてきたかについて、政府が把握しているところを時系列的に明らかにされたい。

四 前記一の代表的地点毎に、現在までどのような住民の健康管理対策が講じられてきたかについて、政府が把握しているところを時系列的に明らかにされたい。

五 前記一の代表的地点毎に、甲状腺がんを含む疾病者数がどのように増加したかについて、政府が把握しているところを時系列的に明らかにされたい。

六 ベラルーシ共和国のストレチェボ村における住民が地元の小学校にて無料で食品の放射能検査ができる制度の詳細について、政府が把握しているところを明らかにされたい。また、同様の制度を福島県で導入する場合には、どの程度の費用が必要となるか、一定の仮定の下での概算を明らかにされたい。概算を示すことができない場合には、その理由を明らかにされたい。

七 ベラルーシ共和国のストレチェボ村やベトカ地区における住民がホールボディーカウンターで内部被ばくの検査ができる制度の詳細について、政府が把握しているところを明らかにされたい。また、同様の制度を福島県で導入する場合には、どの程度の費用が必要となるか、一定の仮定の下での概算を明らかにされたい。概算を示すことができない場合には、その理由を明らかにされたい。

八 ベラルーシ共和国などの同原発事故に関する経験を網羅的に収集し、我が国での放射能対策に活用するために、政府はどのような体制を構築し、予算を措置してきたのか。また、今までにどのような成果が上がったと評価しているのか。さらに、今後どのように改善していくのか。野田政権の取組と見解を明らかにされたい。

  右質問する。