質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三七号

朝鮮総連と朝鮮学校の関係などに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十一月二十四日

義家 弘介   


       参議院議長 平田 健二 殿



   朝鮮総連と朝鮮学校の関係などに関する質問主意書

 朝鮮総連と朝鮮学校の関係について、政府は「朝鮮学校に関する質問主意書」(第百七十六回国会質問第一一九号)に対する答弁書(内閣参質一七六第一一九号)において、「朝鮮総聯は、朝鮮人学校と密接な関係にあり、同校の教育を重要視し、教育内容、人事及び財政に影響を及ぼしているものと認識している。」としている。
 この裏付けとして、朝鮮総連は、ホームページにおいて、「朝鮮総聯は、幼稚園から初級学校、中級学校、高級学校、大学校にいたる百二十余校の各級学校を日本各地に設立して、在日同胞子女に民主主義的民族教育を実施している。」、「朝鮮学校の運営は、朝鮮総聯の指導のもと教育会が責任を負っている。教育会は中央、県、学校単位で専従の活動家と同胞学父母を中心に組織されている。」、「地方本部は、中央本部の決定と方針にしたがって管轄地域の諸般の活動を企画、組織、推進し、管下の階層別団体、事業体、学校を指導する。」、「地域の集団的指導機関である支部常任委員会は委員長、副委員長、専門部署役員、管下の団体責任者、学校長などによって構成される。」、「支部は、朝鮮総聯の方針にしたがって管下の商工会、朝青、女性同盟、青商会、学校などと協力して、地域同胞の生活と権利、民族性を守るための活動など、すべての愛族愛国事業を企画し遂行している。」、「『模範分会創造運動』は、朝鮮総聯のすべての基層単位と傘下団体、事業体、学校までも網羅した全組織的、全大衆的運動に発展し、」などと記述している。
 平成二十三年十月二十六日の「産経新聞」においては、朝鮮総連系金融機関である朝銀信用組合の破綻により、平成十四年以降、担保などになっていた十三の朝鮮学校の校舎や敷地が、整理回収機構に仮差し押さえされていることなどが報道されており、朝鮮学校が朝鮮総連の資金作りに使われていた結果であると指摘されている。
 また、平成二十三年十一月十八日の「産経新聞」においては、朝鮮学校への自治体からの補助金が、朝鮮総連に流用されていた疑いがあり、「教育会」元幹部が「流用に関わった」と証言していることなどが報道されている。
 現在、文部科学省は、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第一条第一項第二号ハの規定に基づく指定に関する規程」(以下「規程」という。)に基づき、朝鮮高級学校について、高校授業料無償化の対象となるか否かの審査を行っている。
 また、政府は、「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」に基づく高等学校等就学支援金について、受給権者は生徒又は学生であり、朝鮮学校等の支給対象高等学校等の設置者は就学支援金を代理受給するものであって、国費が直接、朝鮮学校に支給されるものではないため、例えば、会計検査院による検査の対象にはならないとしている。
 そこで、次の事項について質問する。

一 規程第十四条では、指定の申請に際して「財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監査報告書」等の提出を求めている。前記の報道が事実であれば、規程における収支報告等の違反となり、高校授業料無償化の対象として指定されないと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 政府としても、経理上の不正事案は高校授業料無償化の対象となるか否かの審査に影響を及ぼすことから、朝鮮学校を所管する都道府県と連携の上、補助金流用の事実について確認すべきであり、その結果が判明するまでは、高校授業料無償化の判断を留保すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 教育基本法第十六条の「不当な支配」とは、国民全体の意思を代表するものとはいえない一部の社会的勢力が、党派的な力として教育に不当に介入してくることをいうとされる。朝鮮総連のホームページでは、朝鮮総連が専従の活動家をおいて朝鮮学校の管理運営を指導し、支部常任委員会の構成者に学校長が含まれ、地方本部や支部が学校を指導していることなどを自ら認め、朝鮮学校が朝鮮総連の指導(支配)の下にある組織であることが明示されている。さらに、前記の答弁書や、補助金流用及び整理回収機構による仮差押えの報道などにかんがみれば、朝鮮総連と朝鮮学校の関係は、中央機関から末端の分会に至るまで、事実上、一体化しており、同法第十六条の「不当な支配」に該当する疑いが極めて強いと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 平成二十三年度補正予算においては、私立専修・各種学校施設等の災害復旧事業について、朝鮮学校も対象とされており、その使途に不正の疑いがある際は、国費の問題として会計検査院による検査の対象になると考えられる。ついては、過去十年以内に、いかなる形であれ朝鮮学校に対して国費を支出した事例があれば、その内容について個別具体的に明らかにされたい。

  右質問する。