質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三三号

民主党政権の国づくりビジョンに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十一月二十二日

岩井 茂樹   


       参議院議長 平田 健二 殿



   民主党政権の国づくりビジョンに関する質問主意書

 第百七十九回国会における野田内閣総理大臣の所信表明演説において、野田総理は「住民との膝詰めの話合いを繰り返し、独自の復興プランを必死に作り上げようとしている被災自治体に対して、まずは財源面での確かな裏付けを行います。地域主権改革の理念に沿って、被災自治体に使い勝手の良い交付金を創設するとともに、自主事業を思い切って支援し、各種の補助事業でも自治体の負担分を実質的にゼロにします。」と述べている。
 また、「今般の大震災で得た教訓を生かし、自然災害に強い地域づくりを被災地のみならず全国に広めていく」ことも述べている。
 前者は、いわゆる地域主権の理念に基づいた、地域住民の意思を尊重する発言であり、後者は全国的な国づくりビジョンの必要性を重視した発言である。
 いわゆる地域主権の理念の尊重と、全国的・統一的な国づくりビジョンの必要性は、二者択一のものではなく、それぞれ尊重されなければならないことは明白であるが、事前に全体的な方針を決めておかなければ、場当たり的な対応となり、地域にとっても国にとっても時間や資源の無駄となりかねない。
 そこで、以下、質問する。

一 東日本大震災の津波により甚大な被害が生じた地域の復興のため、現在政府において、防災集団移転促進事業を進めていると承知している。同事業においては、まさに地域住民の生活の根幹に関わるため、地域住民の意思の尊重が優先されるべきである。同事業において、政府は地域住民の意向をどのように取り込んだのか、具体的に示されたい。

二 生活の根幹であり、地域コミュニティを形成する住生活環境が変化することは、住民にとって精神的・肉体的・経済的に大きな負担である。この負担を軽減するために、移転は一気に進めるべきではなく、段階的に進めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 他方、全国的・統一的な国土形成計画については、現在も自由民主党政権下の二〇〇八年七月に閣議決定された国土形成計画(全国計画)に基づいて進められていると承知している。しかし、東日本大震災という大災害を受け、同計画も見直す必要があると考えるが、今後の同計画の見直しのスケジュールを含めた政府の方針を明らかにされたい。

四 現在、日本は超巨大地震の連動の危機に直面している。首都直下型地震が発生すると、国会・政府機能がほとんど停止し、国家の存亡の危機に立たされる可能性もある。このような危機に遭遇しても、日本が滅びずに存続するための強靱さを手に入れるために、日本全体を見渡した新しい国土計画を策定・実行する必要があると考えるが、民主党政権の国づくりビジョンの方向性・在り方について見解を示されたい。

五 全国的・統一的な国づくりビジョンと地域住民の意向に食い違いが生じる事態も考えられるが、その際の優先順位について政府の見解を示されたい。

  右質問する。