質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二六号

長崎県松浦市鷹島沖で発見された元寇船の文化財指定及び保存の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十一月十六日

秋野 公造   


       参議院議長 平田 健二 殿



   長崎県松浦市鷹島沖で発見された元寇船の文化財指定及び保存の在り方に関する質問主意書

 長崎県松浦市鷹島沖の伊万里湾にて、鎌倉時代の元寇の際に沈んだとみられる元の軍船が発見された。原形をとどめた船体が発見されたのは初めてのことであり、この船は歴史教科書で学ぶ弘安の役において約四千四百隻・約十四万人の元兵が鷹島周辺にて遭遇した暴風雨により壊滅したとされる史実を証明するものとなる。
 船底の背骨にあたるキール(竜骨)は長さ十五メートルであり、船の全長は少なくとも二十メートルに達するとみられており、さらに丸木舟とは異なる木材構造船としては最古のものとなることから、保存のうえ、当該船を用いた研究の発展が期待されるところである。よって、当該船の国による文化財指定と今後の保存の在り方について質問する。

一 長崎県松浦市鷹島沖の伊万里湾にて、鎌倉時代の元寇の際に沈んだとみられる元の軍船が発見されたが、原形をとどめた船体の発見は初めてのことであり、歴史上及び学術上価値が高いものである。国の文化財としての指定を早急に進めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 元寇船は、歴史教科書にて生徒に教育している史実資料であり、国が技術的にも財政的にも積極的に保存に関与すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 現在、長崎県松浦資料館において、これまで引き揚げられた船材の一部やいかり石、砲弾等の保存作業が行われているが、脱塩のための水槽の大きさが十分ではない。十年以上かけて脱塩を行っているが、さらに大型の水槽が準備できれば、脱塩にかかる時間はより短くなる。廃校後のプール等の施設があれば、松浦市に提供して脱塩作業の促進を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 今後、廃校後のプール等を用いれば元寇船の脱塩が容易になる。松浦市において保存作業が行えるよう改めて場所の提供を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五 元寇船には華やかな色彩も残っているとされており、色彩の保存も重要と考える。船体の保存にあたっては、これまでのPEG法や糖アルコールを用いた保存方法以外の方法を国が技術支援すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。