質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十一月八日

浜田 昌良   
参議院副議長 尾辻 秀久 殿



   いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問主意書

 九月二十九日付けで提出した「いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問主意書」(第百七十八回国会質問第三二号)において、周辺より高い値の放射線量が計測される場所(以下「マイクロスポット」という。)の体系的・網羅的把握について質問したところ、十月七日付けで「今後については(中略)必要な措置について検討してまいりたい」との答弁書(内閣参質一七八第三二号)があり、十月十八日には、官房長官及び文部科学大臣が、体系的・網羅的把握、除染のための窓口設置、ガイドライン策定等についての記者会見を行った。
 その後、十月二十一日に公表された対応方針及び「放射線測定に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)によれば、情報収集及び除染支援の対象は、あくまで、「地表から一メートル高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が計測された箇所」とされているが、一平米程度のマイクロスポットを仮定して当該線量となる土壌に含まれる放射性セシウム134及び137の量を推計すれば、それぞれ土壌一キログラム当たり十四万一千ベクレル程度(併せて二十八万二千ベクレル程度)になるとのことである(十月二十七日参議院内閣委員会における奥村文部科学副大臣の答弁)。
 政府の特定廃棄物及び除染に伴う廃棄物の処理においては、一キログラム当たり十万ベクレル以上のものは、福島県内は中間貯蔵施設、福島県以外においては遮断型処分場において厳重に管理すべきものとされているにもかかわらず、その二・八倍程度以上の汚染土壌しか、情報収集及び除染支援しようとしないガイドラインの内容は、いまだ住民の不安に対応するものとなっていない。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 最近の東京都、神奈川県、千葉県などにおけるマイクロスポットに対する不安は、外部被ばくというより内部被ばくに対する懸念が要因だと考えられる。政府として、情報収集及び除染支援の対象は、あくまで、「地表から一メートル高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が計測された箇所」と決定するにあたり、内部被ばくの影響をどの程度考慮したのか、その考え方を内部被ばくと外部被ばくの影響の比率などのデータを含めて定量的に明らかにされたい。

二 情報収集及び除染支援の対象箇所の空間線量率を、「地表から一メートル高さで周辺より毎時一マイクロシーベルト以上」とする現行レベルよりも大幅に引き下げるべきではないかとの十月二十七日の参議院内閣委員会における私の質問に対し、細野国務大臣からは、更に下げてしまうとバックグラウンドの放射線量と混ざる可能性があるので対応できないとの答弁があった。それでは、政府はバックグラウンドの放射線量を東京都、神奈川県及び千葉県でどの程度と把握しているのか。地上一メートル、〇・五メートル及び一センチメートルごとの一時間当たりの空間線量率について、代表的地点の最高値、平均値及び最低値を明らかにされたい。

三 マイクロスポットは、雨などを通じて放射性物質が時間的経過に伴い集積することにより生成されるものであることから、現時点で基準値以下であるとしても、一定期間後にはそれを上回ることが予想されるという性質を有するものである。したがって、バックグラウンドレベルと混ざらない範囲で、できるだけ最小の基準以上のより多くの箇所を情報収集及び除染支援の対象とすることが、住民の健康を守るための予防的対応と考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

四 十月二十七日の参議院内閣委員会において、横浜市のマイクロスポットにおけるストロンチウムの検出が報道されている一方、それが福島由来か否かの検証調査の指示が遅れたことに対する謝罪の答弁が奥村文部科学副大臣からあったが、柏市のマイクロスポットについてはその検証調査の指示を行ったのか。併せて、これらの結果についても明らかにされたい。
 また、そもそも、ストロンチウムのバックグラウンドは、土壌一キログラム当たり何ベクレル程度と考えているのか。政府の把握している範囲で明らかにされたい。

五 十月二十一日に公表された対応方針によれば、マイクロスポットの体系的・網羅的把握の具体的進め方について、民間団体等による発見に大きく依存している。一方で、点検・校正がなされていない線量計などによる不正確なデータが、逆に市民の不安を煽ることにもなりかねないという懸念もある。「自治体に対する資機材への支援を第三次補正予算で行うべき」との前記質問主意書に対して、前記答弁書では「平成二十三年度第三次補正予算においても、(中略)予算措置を検討しているところである。」とあったが、ガイドラインにおいて取扱方法が記載されている各種線量計について市民団体への貸出や自治体への支援は、第三次補正予算の中のどの事項・項目に計上されているのか、具体的な予算額と併せて明らかにされたい。第三次補正予算に計上されていない場合、ガイドライン公表に伴い、民間団体等が正確なデータで体系的・網羅的に把握することが急務なことから、予備費の支出により早急に対応すべきと考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。