第179回国会(臨時会)
質問第九号 原子力安全に関する国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に対する日本国政府の報告書に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年十一月二日 福島 みずほ
参議院議長 西岡 武夫 殿 原子力安全に関する国際原子力機関(IAEA)閣僚会議に対する日本国政府の報告書に関する質問主意書 本年六月に開催された原子力安全に関するIAEA閣僚会議において、東京電力福島第一原子力発電所などの事故に関する日本国政府からの報告書(以下「本報告書」という。)が提出された。本報告書の作成に当たっては、原子力災害対策本部の中で、政府・東京電力統合対策室による事故収束に向けての取組等を踏まえて作業を進め、外部有識者の意見も聴取しながら行ったもので、全体の作成作業は、原子力災害対策本部長である内閣総理大臣の命を受けた細野内閣総理大臣補佐官(当時)が統括したと承知している。 しかし、本報告書は、重大な事実が誤っている。例えば、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)について、単位量を入れて得られたデータを利用して避難に活用することを定めている「環境放射線モニタリング指針」(平成二十年三月、原子力安全委員会)が存在しているにもかかわらず、同指針に反して、避難への活用がなされなかったことに関して、本報告書では同指針の存在に触れておらず、同指針違反である事実が隠ぺいされている。また、気象庁が事故当日から行っていた放射性物質拡散予測に関する情報が、国民及び日本在住の外国人に公表されなかったことも触れられていない。さらに、二〇〇九年九月、当時想定されていた規模を上回る津波が襲来する可能性があることを東京電力から聞いた原子力安全・保安院は、東京電力に対して、その可能性について対処するように指示をしなかったことも伏せられている。これらの事実は、いずれも、原子力災害対策本部及び政府・東京電力統合対策室の担当者が本報告書を作成する時点で知りえたものであり、単なるミスとして見過ごすことはできない。 そこで、以下のとおり、質問する。 一 SPEEDIについて、単位量を入れて得られたデータを利用して避難に活用することを定めている同指針が存在しているにもかかわらず、同指針に反して、避難への活用がなされなかったことに関して、本報告書では同指針の存在に触れておらず、同指針違反である事実が隠ぺいされたのはなぜか。また、この点について、本報告書を修正する予定はあるか、政府の見解を示されたい。 二 気象庁が事故当日から行っていた放射性物質拡散予測に関する情報が、国民及び日本在住の外国人に公表されなかったことが、本報告書において触れられていないのはなぜか。また、この点について、本報告書を修正する予定はあるか、政府の見解を示されたい。 三 二〇〇九年九月、当時想定されていた規模を上回る津波が襲来する可能性があることを東京電力から聞いた原子力安全・保安院は、東京電力に対して、その可能性について対処するように指示をしなかったことが、本報告書において触れられていないのはなぜか。また、この点について、本報告書を修正する予定はあるか、政府の見解を示されたい。 四 本報告書において誤りが散見される以上、本報告書に関する国民の意見を聴取し、IAEAに対する報告書を正確なものに修正する必要があると考えるが、そのような予定はないか、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |